本研究では,ニワトリ胚の頭蓋底軟骨が発生起源の異なる二つの軟骨(正中部軟骨とその両側軟骨)から構成される可能性を調べ,指標となる分子の実体解明を目指した。神経堤除去実験と細胞標識実験から,PNA-レクチン結合糖鎖(PNA-BM)は頭蓋底正中部領域で強く発現するが,その両側にある軟骨では発現しないことを確認した。PNA-BM陽性細胞ではアクチン繊維の強い凝集が観察されたが,陰性細胞では繊維が観察されず,頭蓋底軟骨組織の不均一性が確認された。PNA-BMの分子実体については,レクチンブロット法により分子量200kDaまたは230kDaの細胞膜タンパク質あるいは細胞間タンパク質と考えられた。
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