今後の研究の推進方策 |
卵管分泌上皮・膣上皮の運命決定因子の探索においては、平成25年度に得られた結果を基にして、誘導候補遺伝子の機能解析を引き続き行う。誘導現象については、改良された共培養系を用いるだけでなく、腎皮膜下移植による同定も行う。上皮・間充織株細胞と原基間充織・上皮をはり合わせた再構築原基を腎臓皮膜下へ移植し2-4週間経過すると、各器官の形成が確認される (Cunha, 1976; Yamanouchi et al., 2010, Umezu et al., 2010)。候補遺伝子を強制発現された株細胞を用いて、再構築原基を作製・移植し、誘導の確認を検証し候補遺伝子の機能を明らかにする。誘導の確認は、組織学的およびマーカータンパク質の発現を用いた免疫組織化学による。 子宮上皮への運命決定因子の探索は、引き続き子宮間充織に発現している液性因子の探索を行う。我々の以前の研究より、卵管繊毛細胞を誘導する液性因子の同定に成功しており (Umezu et al., 2010)、膣上皮の分化に関わる液性因子はいくつか報告されている (Nakajima et al., 2011, 2012; Laronda et al., 2013)。これらの結果から、子宮上皮の運命を決定するのは、1) これらの因子が発現していないというネガティブな要因 2) 発生期または子宮特異的でない因子、という2つの可能性があると考え、より広く子宮上皮への運命決定因子を探索する。また、子宮上皮に特異的に発現するマーカー遺伝子の探索研究も行ったが、同定するには至らなかった。遺伝子発現のみならず、タンパク質発現にも着目し、子宮上皮の性質を表すマーカーを探索する予定である。
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