研究課題/領域番号 |
25460256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
高橋 則行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80267450)
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研究分担者 |
石塚 文平 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80097336)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 卵変性 / 卵成熟 / 神経変性 |
研究概要 |
本実験で中心的に用いられる遺伝子改変動物の購入に手間取り、初年度分の計画を次年度に行うことにした。それ以外の部分はおおむね順調に進展し、2報の論文掲載・学会発表の成果を得た。 当初の研究計画での記載事項のみならず、研究課題範囲内に属するその他の神経と卵巣で共通に発現する分子の卵巣における役割の解明および卵成熟の過程で不可欠な卵胞周囲での血管新生制御と卵胞閉鎖の関連にも着手し、論文掲載・投稿中の成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画・方法として挙げた方法(2)-(i) IDPNの生殖毒性の詳細について研究を進めて成果を得、論文掲載まで進めた[Reproductive Toxicology 43C pp19-25, 2013]。 ヒト卵巣組織切片を用いて卵でのNF-Hの発現を確認した。さらなる研究により哺乳類におけるNF-Hの機能解析を進め、論文化する。最終的には臨床応用のための効果的な利用手段を検索する。 研究計画・方法の(3)に該当する分子のひとつとして、未分化な神経および卵巣で発現するNestinについて解析を進め、血管内皮細胞および黄体化莢膜細胞での発現を見出した。特に黄体化莢膜細胞での発現はこれまでのパターンと異なり、Nestinが細胞分化のために構造タンパク質として発現するという従来の考え方が、構造タンパク質として機能するのではなく細胞の生存や自己刷新のために異なる作用機序で発現する可能性を持っており、ほとんど機能が知られていない、卵巣機能維持に必須な莢膜細胞の黄体化を解明する上で鍵となる分子と思われる。この研究成果については、現在論文投稿中である。 卵成熟を達成するためには、卵胞の成長および成熟過程が不可欠である。その際、卵胞周囲の血管新生の緻密な制御が、正常な卵胞成長を成し遂げる上で、やはり不可欠な要素である。この重要性と、細胞外マトリクスの血管新生制御能とを鑑み、卵巣での成長中の卵胞内・卵胞周囲でのヒアルロン酸合成について研究を進め、その卵巣機能維持における重要性を見出した。本研究成果も初年度に論文化した[Reproduction 147(2) pp189-197, 2014]。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画・方法として挙げたもので、着手していない部分を精力的に進めていく。方法(1)はNF-Hノックアウトマウスを用いた実験で、7月納期予定の動物の到着次第進めていく。 方法(2)-(i)は論文化した研究の延長となる、より詳細なIDPNの生殖毒性における作用機序を検索していく。(2)-(ii)は未成熟卵の成熟過程を体外培養系で再現し、低濃度~高濃度のIDPNが卵成熟に与える影響を形態学的・分子生物学的に解析していく。特に毒性を出さずに卵成熟を促進することが可能であると考えられる低濃度添加において、その是非を詳細に検証し臨床応用を目指す。 方法(3)に記載したtau / ENO2の他に、Nestin、間接的に卵変性・卵成熟と関与する卵胞周囲の血管新生に関わるヒアルロン酸などの神経と卵巣で共通に存在する分子について、研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子改変動物の購入が遅れ、その購入費が支払われなかったため 購入が遅れた遺伝子改変動物の購入・飼育・サンプル処理およびデータ解析・論文作成にかかる費用に充てる
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