研究課題/領域番号 |
25460258
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
近藤 晶子 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (90396838)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70302627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発生生物学 |
研究実績の概要 |
本研究ではゼブラフィッシュ胚で背腹軸に沿った分化誘導に関わるBMPシグナルを始めとするの分化誘導シグナルの時空間変化を解析すること目指している。昨年度に引き続き系の構築のための基盤技術を開発する。 BMPと同様にTGF-βスーパーファミリーのNodalシグナルをsmad2とsmad4のBimolecular Fluorescence Complementation (BiFC)法で検出する系が報告されており(Harvey et al. ‘09)、これを用いて条件検討をした。蛍光タンパク質VenusのN末にsmad2が融合したVNsmad2, C末にsmad4が融合したVCsmad4をコードしたmRNAをゼブラフィッシュ胚の1細胞期に顕微注入し、smad2とsmad4が相互作用して核に局在していることを共焦点レーザー顕微鏡で検出する。VNsmad2、VCsmad4 mRNAの胚への導入量を検討した。活性化型TGF-β受容体であるTaram-A-Dとの共顕微注入によりNodalシグナルを活性化させた場合に、核での蛍光がより強く見られる条件を見いだした。Taram-A-Dの共発現で核局在が見られる細胞が増加することからも、検出している蛍光シグナルがNodalシグナルの活性化を反映していると考えられた。現在光シート顕微鏡での撮影条件を検討している。 また、細胞トラッキング手法の検討をした。原腸細胞期のゼブラフィッシュ胚では形態的特徴が似た細胞が密に存在するため、長期間のトラッキングが困難であり細胞トラッキング手法の確立が重要である。細胞核の蛍光標識胚で昨年度までに開発した細胞運動のトラッキング手法の検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの検討により、本研究で用いているsmad2, smad4の相互作用をBiFC法で検出する系は、蛍光シグナル強度や核/細胞質での蛍光シグナル強度の比が小さく、短い時間間隔での長時間全胚ライブイメージングにおいては、更なる検討を要することがわかった。そのためゼブラフィッシュ胚サンプルの調製方法、VNsmad2配列、光シート顕微鏡の撮影において、当初の予想より多くの条件検討が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
Nodalシグナルの活性化をBiFC法で検出し、全胚でタイムラプス撮影するために必要な条件検討を行った後、Nodalシグナルの時空間変化の解析を行う予定である。その際、光シート顕微鏡で得られたタイムラプス画像から、シグナル強度の時間変化を解析するための数理解析の方法論を検討する。さらに、得られた基盤技術を用いて、他の分化誘導シグナルの解析も目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗により試薬の使用が予定額より少なくなった。また、同等品であればなるべく価格の低い試薬を選択して購入した。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、Nodalシグナルのダイナミクス解析と平行して、BMPシグナルの検出系の開発も予定しており、それらに必要な試薬類の購入に使用する予定である。
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