研究実績の概要 |
本研究では、ゼブラフィッシュ胚の発生過程で、分化誘導シグナル活性化の時間変化を、特に背腹軸形成に関与するBmpシグナルに着目して解析することを目指している。そのため同じTGF-βスーパーファミリーに属するNodalシグナルの可視化を利用して基盤技術の開発を行った。Nodalシグナルの可視化にはSmad2とSmad4の複合体形成と核移行の検出を二分子蛍光補間 (BiFC) 法を利用して行う方法を用いた(Harvey & Smith, PLoS Biol.‘09)。 長時間の全胚ライブイメージングのため、選択的平面照明顕微鏡(DSLM)での撮影条件を検討した。DSLMでNodalシグナル活性化ゼブラフィッシュ胚(constitutive active type I TGFβ受容体mRNAを共顕微注入した)での蛍光の核移行と、正常胚での動物極領域(Nodalシグナル弱)とマージン領域(Nodalシグナル強)の蛍光核移行度合いの差を検出することができた。ついでDSLMでの長時間全胚ライブイメージングを行い、ゼブラフィッシュ初期胚でのNodalシグナル活性化を3分間隔で10時間以上撮影することができた。 今回検討したDSLMを用いたNodalシグナルの長時間全胚撮影方法は、今後Bmpシグナルの時間変化を解析する際の、長時間全胚撮影方法として用いることができると考えられる。
|