研究概要 |
本年度は、羊膜幹細胞クラスターを作成するために、羊膜幹細胞の濃縮及び性質の異なる幹細胞の分取を実施した。 1) 羊膜上皮細胞をMACSを用いてTra-1-60で選択し、Oct3/4. Sox2, Klf4, c-myc, Nanog, lin28の発現についてリアルタイムPCR法にて検討したところ、いずれの転写因子の発現もTra-1-60 陰性細胞に比べ有意に高いことが明らかとなった。免疫染色の結果、Tra-1-60陽性細胞はTra-1-81およびSSEA4陽性であることから、羊膜上皮細胞から羊膜上皮幹細胞を濃縮するのに、Tra-1-60は有効なマーカーである。現在、Tra-1-60により分取した細胞の分化能について検討中である。 2) 羊膜間葉系細胞(HAM)を、細胞の大きさとcolony formation 能で分取したところ、4つのtype(HAMα、HAMα-S, HAMα-M, HAMαL)の増殖能の高い細胞を分取することが可能となった(特許申請中)。これらの細胞は、CD73, CD90, CD105, CD44, CD29, CD49f, CD271, Nestin, CXCR4 に陽性であり、免疫染色の結果, 山中4因子をはじめ、CD44, SSEA3, SSEA4, Tra-1-60, Nestin, Musashiに陽性を示した。肝細胞への分化誘導を行ったところ, 全ての細胞でCYP2D6のmRNAの発現が認められたが、albuminの発現が見られたのは、HAMα-S および HAMα-Lであった。免疫染色においても同様に、HAMα-S および HAMα-Lにおいてのみ、albumin, α1 anti-tripsinなど肝細胞への分化を示唆する像が観察された。肝硬変疾患モデルにてこれらの細胞の効果を検討中である。
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