研究課題/領域番号 |
25460264
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉田 淑子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00171421)
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研究分担者 |
相古 千加 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10523889)
二階堂 敏雄 富山大学, 事務局, 理事・副学長 (50180568)
岡部 素典 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (60283066)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 羊膜由来幹細胞 / 羊膜幹細胞クラスター / 間葉系幹細胞HAMα / 神経再生 / 関節炎モデル / 治療的処置 / 組織再構築 / 抗炎症効果 |
研究実績の概要 |
難治性疾患に対する治療方法を開発する目的で、羊膜から4種類の幹細胞クラスターを分取する方法を確立した。組織の補填と微小環境の調節による組織再構築を目的として、異なった種類の幹細胞クラスターをin vitroでは共培養する方法で、in vivoでは疾患モデルに移植する方法で組織の再構築効果を検討した。 1)羊膜由来の間葉系幹細胞 HAMαと不死化ヒト羊膜上皮細胞(iHAE)に高親和性コリントランスポーター(CHT)遺伝子を導入した細胞(CHT+細胞)を共培養し、コリン作動性神経の作成を促進し、アルツハイマー治療へのあらたな治療方法の開発を目指した。CHT+細胞は、分化誘導後、MAP2, TUJ3などの神経細胞特有のマーカーおよびmRNAの発現が認められるとともに、シナプス形成に関与するシナプジンの発現が観察された。更にCHT+細胞が自発電位の発生していることを多極電位測定装置にて証明した。HAMαとの共培養後は、神経軸索の成長、シナプスの形成が顕著となった。 2)多くの関節炎モデル実験では、関節炎が発症する前に処置を行う予防的な方法により、有効性を示している。しかし、細胞クラスターを用いた本実験では、予防的な方法ではなく、既に関節炎が惹起された状態、すなわち治療的な方法での有効性が確認された。細胞投与後の形態的な観察から細胞クラスターHAMα細胞、それ自身が組織の再構築に関与するというよりは、HAMαの抗炎症効果がマウス自身の免疫力を惹起することにより組織の再構築を誘導したと考えられた。 上記2例のように異なったクラスターを組み合わせた細胞移植は、本来の組織を補填するだけでなく、細胞生育の環境調節が同時に実施できるためにより効率的かつ自然に組織再構築ができる。羊膜由来幹細胞クラスターの利用は、難治性疾患に対する有効な治療方法の一つとして意義のあるものである。
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