研究課題/領域番号 |
25460267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
寺田 信生 信州大学, 医学部, 教授 (60293461)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 接着分子 / 膜骨格 / 末梢神経系 / シュワン細胞 / 蛋白複合体 / 凍結技法 |
研究概要 |
末梢神経系シュワン細胞のシュミット・ランターマン切痕SLIの神経線維の伸展状態に対応した形態変化について、膜骨格蛋白4.1Gやシグナル蛋白MPP6を指標として、生きた状態を反映した標本作製がおこなえる、生体内凍結を用いて検討した。神経線維は、伸展状態で数珠状に変化し、その数珠形態の細い部分にSLIが円錐台の高さを伸ばして局在し、外力に対抗したSLIの緩衝作用を可視化することができた。さらに同様の生体内凍結技法を用いて、末梢神経の血管から間質へのアルブミンの局在を指標として、細胞間の空間配置を検討した。これまでランビエ絞輪部の間質液の拡散状態が不明であったが、傍絞輪部を境にバリアー機構があることが明らかとなり、国際誌に発表。さらに傍絞輪部が変化する病態下での分布変化の検討を継続している。 またSLIにおける膜骨格4.1ファミリーと関連した蛋白複合体の検索については、シグナル蛋白MPP6を中心に、免疫沈降法、ノックダウン法の条件を検討している。その中で新たなシグナル蛋白SrcもSLIにMPP6を介しての複合体形成を見出し、国際誌に発表した。さらに4.1ファミリーの密着結合(tight junction)との形態形成過程が上皮細胞においても注目されており、このSLIにおいてどのように細胞膜接着装置が形成されていくかについて、蛋白相互作用としての複合体を明らかにすることが重要と考えている。 この接着装置の視点からは、上皮組織腫瘍のひとつである4.1ファミリーがマウスおよびヒトメラノーマでも発現・局在することを見出して学会発表したが、さらに複合体蛋白、正常メラノサイトとの比較を検討している。 以上のように、本研究の「膜骨格構造に関連する4.1G 結合蛋白を探索し、光顕・電顕による3次元的局在さらにそれら新規蛋白の機能解析する」という、当初の目的に沿って研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)末梢神経系シュワン細胞における膜骨格蛋白複合体の解析 SLIにおけるシグナル蛋白Srcの局在とMPP6との蛋白複合体の発見、末梢神経系の伸展に対応した形態変化に関して、国際誌に発表した。 2)凍結技法を用いた膜骨格、膜内蛋白および可溶性蛋白の局在検討 さらに末梢神経系での可溶性蛋白分布を検討した生体内凍結技法の有用性についても、国際誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1)膜骨格蛋白複合体の検索 蛋白複合体の役割を明らかにするためには、構成している蛋白の各々の発現や機能を変化させながら相互作用を検討することが必要である。作製した4.1蛋白欠損マウスはもとより、関連蛋白についてもshRNAやノックアウトなどの細胞やマウス作製を推進している。 2)形態と機能を反映した試料作製上での蛋白複合体の局在や機能の解析 これらの細胞-組織-臓器-個体の形態と機能を、生体を反映した試料作製法である凍結技法も併用しながら、膜骨格を含む蛋白複合体について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画より安価で研究が遂行できたため、次年度使用額が生じた。 前年度未使用額とH26年度経費を合わせ、当初計画通り実験を遂行する。
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