研究課題
末梢神経のシュワン細胞が形成するミエリン内にあるシュミットランターマン切痕(以下SLI)に新たな膜骨格蛋白複合体4.1G-MPP6-CADM4-Src複合体を見出し、このSLIの生体内での機能を検討するために、坐骨神経に液体窒素冷却液性混合寒剤 (-193℃) を直接かけて瞬時に凍結する “生体内凍結技法” を用いて、種々伸展下マウス坐骨神経のSLI形態を 4.1Gの免疫染色を指標に解析した。この生体内凍結技法は血行動態を反映したSLIの機械的伸長に対応した形状変化を明らかにし、4.1G―MPP6を含むSLIの外力に抗する緩衝作用の役割が考えられた。さらに従来報告されていた可溶性蛋白アルブミンがSLIに浸透する現象は、生体内凍結技法による標本では観察されず、生体の神経線維内の正確な分布を明らかにした。さらにこの末梢神経系で見出したMPPファミリーと4.1ファミリーの蛋白複合体を他の組織でも検討するために、種々の上皮細胞でのMPP6の局在を免疫組織化学的に検索したところ、マウス小腸の腸陰窩から腸絨毛における上皮細胞側底面の細胞膜直下にMPP6が局在することを見出した。この局在はE-cadherinと腸上皮全体で、4.1Bとは腸絨毛部分で一部が類似していた。しかし免疫染色による4.1B欠損マウス小腸におけるMPP6の免疫染色性や局在部位は野生型マウスと変わらず、Western blotによる蛋白発現量でも変化は認めなかった。このことから、末梢神経の4.1G-MPP6とは異なって小腸上皮において4.1B はMPP6 の局在化に必須ではないことが明らかとなった。一方、免疫沈降法によって抗MPP6抗体で得た沈降物に、シグナル蛋白Calcium/calmodulin dependent serine protein kinase (CASK)の分子量を示すWestern blotによるラインが得られたことから、CASKとMPP6の結合が明らかとなった。この新たなMPPファミリーの役割について今後検討する必要がある。
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Med Mol Morphol
巻: - ページ: in press
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http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.jVACPFSa.html