研究課題
リンパ球は血管系とリンパ組織の間を繰り返し循環することで病原体の侵入を監視し、免疫応答に備えている。血中のリンパ球がリンパ節へ動員される際には、リンパ節中の高内皮細静脈 (high endothelial venule : HEV)という特殊な血管の内皮細胞に接着し、その血管壁を通過する。HEVはリンパ節、パイエル板のみに存在し、他の血管とは形態的・機能的に大きく異なる特徴を有することから、HEV形成誘導に関する転写因子が免疫組織で選択的に発現すると考えられる。私は本研究課題に先立ち、新生仔マウスリンパ節HEV に発現する複数の転写因子を同定した。中でも転写因子X は未熟HEVに限局した発現パターンを示すことが明らかになった。最終年度は特に遺伝子Xを過剰発現するトランスジェニック (Tg) マウスを用いて、リンパ節における 遺伝子発現のHEV形成への関与を解析することにした。MECA79抗体 (HEV 内皮細胞に選択的に発現する PNAd分子を認識) および 抗 CD34 抗体 (HEVを含むすべての血管内皮細胞表面に発現する CD34 分子を認識) を用いて、生後3~4週齢の野生型 (WT) および 遺伝子導入 マウス鼠径リンパ節の免疫組織染色を行い、MECA79 陽性および CD34 陽性血管面積、MECA79 染色レベルを求め、統計的解析を行った。その結果、WT と Tgマウス鼠径リンパ節において、MECA79 陽性および CD34 陽性血管の形態、MECA79 陽性および CD34 陽性血管面積、MECA79 陽性領域あたりの輝度については、両者の間で有意な差がみられなかった。一方、Tg マウス組織は WT よりも MECA79 陽性領域面積と輝度総和が有意に高い結果となった。これらの結果から、遺伝子X は一定レベル以上 PNAd 分子を発現する HEV 形成に関与する可能性が考えられた。
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