研究課題
低分子量GTP 結合タンパク質Rab8aのノックアウトマウスの小腸上皮細胞においては、側底側に輸送される種々の蛋白の分布が正常であるのに対し、頂端側に輸送される種々の蛋白では局在の異常が認められた。SGLTも局在異常を示し、細胞内の頂端側において広汎に蓄積した染色が大量に認められた。GLP-1発現の増加や、GLP-1とChromogranin Aとの共発現も認められたが、GLP-1の細胞内の局在に大きな変化は認められなかった。インクレチン分泌のメカニズムを解明するためには、側底側に輸送される蛋白の分布が示すようなモデルマウスを解析するのが望ましいと考えられる。そこで申請者らは、様々なノックアウトマウスにおいて、側底側に輸送される蛋白の分布を調べた。PKD (Mammalian protein kinase D)1 KOマウス、PKD2 KOマウス、PKD1とPKD2 のダブルノックアウトマウスにおいて、小腸上皮細胞の細胞極性に大きな異常は認められなかった。また、Rab8b ノックアウトマウス、Rab8ab ダブルノックアウトマウス、Rab11 KOマウス、さらにはRab8aに結合するEHBP1L1ノックアウトマウスでは、Rab8aのノックアウトマウス同様に、頂端側に輸送される種々の蛋白では局在の異常が認められたが、側底側に輸送される蛋白の分布には明らかな異常が認められなかった。そのため、現在は小腸上皮細胞の側底側への輸送が障害されるモデルマウスの作成を模索中であり、その様なモデルマウスを解析することによって、インクレチン分泌の機構が解明されることが期待される。一方において、SNAP23欠損マウスでは内分泌系と外分泌系に非常に興味深い異常が認められた。現在はこの結果を投稿中であり、既に査読者より好意的な評価が得られている。
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Journal of Cell Biology
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