研究概要 |
平成25年度はニワトリ胚心臓心筋傷害モデルの作製を行った。心外膜形成前の発生ステージ16のニワトリ胚心膜体腔を開放し、マイクロビブラトームを用いて右心室前壁の一部を切除、フィブリノーゲン・トロンビンにより切除面をシールし、再孵卵後に生存胚を得ることができた。26年度は、傷害部位、傷害面積の検討を加え、生存率の高いモデルを完成させる。確立した心筋傷害モデルの異なる発生ステージの心臓からパラフィン切片を作製しHematoxylin-Eosin、Picro-Mallory、Masson-Goldner染色を行って、心筋傷害の修復過程を追跡する。また心筋分化マーカーIslet1, Nkx2.5, GATA4, Smooth muscle alpha-actin, Sarcomeric alpha-actinin, Sarcomeric myosin等の免疫染色を行い、修復領域の心筋分化状態について検証する。さらにPhospho-histone H3, PCNA, Ki67, BrdUの免疫染色を行い心筋増殖についても検討する。また心外膜マーカーWT1, Tbx18, Cytokeratin19の免疫染色によって心外膜の修復領域への浸潤について検討する。以上の検討によって心筋修復が最も活発に行われている時期を明らかにし、その領域からmRNAを抽出し、マイクロアレーによって遺伝子発現について網羅的に解析する。 心筋修復に重要な役割を持つ冠状血管内皮細胞の起源についても検討を行った。心外膜原基proepicardial organ を構成する心膜体腔上皮に蛍光標識を行い、その運命を追跡した。その結果WT1陽性のPE表面の中胚葉性上皮から冠状血管内皮細胞が分化することが証明された。26年度は胚心室移植モデルを用いて、蛍光標識した心室内皮細胞が冠状血管内皮細胞に分化するかについて検討する。
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今後の研究の推進方策 |
心筋傷害モデルを用いた傷害修復過程の検討:確立した心筋傷害モデルから組織切片を作製し、一般染色(Hematoxylin-Eosin、Picro-Mallory、Masson-Goldner)によって修復過程をモニターする。また免疫染色によって、修復過程で発現する心筋幼弱マーカー、分化マーカー、増殖マーカーについて明らかにする (Islet1, Nkx2.5, GATA4, Smooth muscle alpha-actin, Sarcomeric alpha-actinin, Sarcomeric myosin, Phospho-histone H3, PCNA, Ki67, BrdU等)。また心筋修復に対する心外膜の関与については心外膜マーカーの免疫染色によって検討する。以上の検討によって心筋修復が最も活発に行われている時期を明らかにし、その領域からmRNAを抽出、マイクロアレーによって網羅的に遺伝子発現について解析する。 心室心内皮細胞は冠状血管内皮細胞に分化しうるか:確立した心室移植モデルを用いて検討する。ウズラ胚右心室壁内皮細胞を蛍光標識し、ニワトリ胚右心室壁に同所性に移植する。冠状血管が形成されるステージまで発生させ、ウズラ特異的内皮細胞マーカーの免疫染色を行い、移植した心室内皮細胞から冠状血管内皮細胞が形成されているかについて組織切片上で明らかにする。また動脈内皮細胞、静脈内皮細胞特異的マーカーを用いて冠状動脈および静脈内皮細胞の起源についても検討する。
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