研究課題/領域番号 |
25460274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
東尾 浩典 岩手医科大学, 共通教育センター, 講師 (50342837)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 調節性分泌制御機構 / 肥満細胞脱顆粒過程 |
研究概要 |
[1] 肥満細胞の脱顆粒に関与する遺伝子群を時空間的に機能解析するライブイメージング系の立ち上げを遺伝子導入が比較的容易なラット肥満細胞株RBL-2H3を用いて開始した。細胞外液に添加したsulforhodamine-Bが抗原刺激を与えた直後から蛍光を発しつつ細胞内へ進展していく様子から、初代肥満細胞で報告されているような、細胞膜―分泌顆粒間、そして分泌顆粒―分泌顆粒間の膜融合が組合わさった分泌現象 (compound exocytosis)がRBL-2H3でも起こっていることが確認され、そのタイムコースに関する大まかな情報も得られた。 [2] 新規な脱顆粒関連遺伝子Rab37を同定した。Rab37は小胞輸送を制御するRabファミリー低分子量GTPaseの一つである。Rab37はマスト細胞の分泌顆粒上に存在しており、そのノックダウンは脱顆粒に著しい影響を与えた。また、既知の脱顆粒関連遺伝子産物と結合したことから、Rab37はこの遺伝子産物を介して脱顆粒を制御していることが示唆された。この新規遺伝子を上記ライブイメージング系に供して時空間的解析を行うことで、よりオリジナリティーの高い研究成果が得られると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規脱顆粒関連遺伝子の同定および生化学的解析に多くの時間を割いてしまった為、compound exocytosisのライブセルイメージング系の確立が途上である。sulforhodamine-Bによるイメージング系は立ち上げたものの、Texas-red dextranを用いたイメージング系には取り組めておらず、RBL-2H3細胞におけるcompound exocytosisの様式・形態的特徴の詳細な解析まで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
[1] 新規脱顆粒関連遺伝子Rab37については、H25年度に得られた知見までで論文にまとめる(これ以上引き延ばさない)。 [2] RBL-2H3細胞における脱顆粒の基礎的情報の取得を最優先する。ライブセルイメージング系を早急に立ち上げ、まずは抗原刺激によって生じる脱顆粒の、single, sequential, multivesicular各exocytosis様式の割合、形態的特徴、タイムコースに関する情報を得る。その後、他の分泌刺激で同様に脱顆粒をイメージングし、抗原刺激時との類似点・差異を見出し、どの分泌刺激で遺伝子機能解析を行うのが適当かを判断する。当初Ca2+濃度変動もイメージングし、Ca2+濃度変動と脱顆粒との関係も検討する計画であったが、これは後に回し、遺伝子機能解析へ向けたイメージング系の立ち上げのみに専念する。 [3] イメージング系の確立までの時間を有効利用するため、Rab37を含む脱顆粒関連遺伝子群のノックダウン用プラスミドの構築作業を進め、ノックダウンの確認をWestern法あるいはリアルタイムPCR法で進めておく。そして実際に脱顆粒に影響が生じることまで確認しておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ライブセルイメージング系の立ち上げが遅れており、これに係る試薬注文が少なかった為。 前年度やり残したライブセルイメージング系の立ち上げを今年度の研究計画と合わせて行うために、前年度分繰り越し分と今年度分が必要である。
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