研究課題
基盤研究(C)
本年度は、カテプシンD欠損マウスの神経細胞のリソソームにおいてミトコンドリア内膜のサブユニットcが蓄積する機構が、ミトコンドリアの非選択的なマクロオートファジーのみならず選択的なミトコンドリアのマクロオートファジーすなわちマイトファジーを介するのかについて、遺伝学的な検証を試みた。具体的にはマクロオートファジーに必須なAtg7遺伝子を神経系特異的に欠損させたマウス(Atg7F/F;Nes)ないし、マイトファジーに必須なParkin遺伝子を欠損したマウス(Parkin-/-)と、カテプシンD欠損(CD-/-)マウスとを交配しそれぞれのダブルノックアウトマウス(CD-/-Atg7F/F;NesないしCD-/-Parkin-/-マウス)の作成に成功した。これらダブルノックマウスにおいてサブユニットcの免疫陽性反応をCD-/-マウスと比較したところ、CD-/-Atg7F/F;Nesではサブユニットcのリソソームにおける陽性像がほとんど消失したのに対して、CD-/-Parkin-/-マウスでは陽性像が減弱するのみであった。このことは正常の神経細胞ではミトコンドリアは非選択的なマクロオートファジーにより分解される割合が高く、Parkinを介するマイトファジーの寄与はない訳ではないが必須ではないことを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、カテプシンD欠損マウスの神経細胞のリソソームにおいてミトコンドリア内膜のサブユニットcが蓄積する機構が、ミトコンドリアの非選択的なマクロオートファジーのみならず選択的なミトコンドリアのマクロオートファジーすなわちマイトファジーを介するのかについて、遺伝学的な検証を試みるための、マクロオートファジーに必須なAtg7遺伝子を神経系特異的に欠損させたマウス(Atg7F/F;Nes)ないし、マイトファジーに必須なParkin遺伝子を欠損したマウス(Parkin-/-)と、カテプシンD欠損(CD-/-)マウスとを交配しそれぞれのダブルノックアウトマウス(CD-/-Atg7F/F;NesないしCD-/-Parkin-/-マウス)の作成量産に成功した。これらを比較検討することで、マイトファジーがin vivoの中枢神経系においてどの程度寄与があるか、直接的に初めて明らかとすることが期待される。
免疫組織化学は定量性に欠ける面があるため、対照群のマウスと、カテプシンD単独欠損マウス、ダブルノックアウトマウス(CD-/-Atg7F/F;NesないしCD-/-Parkin-/-マウス)において、ミトコンドリアとリソソームか区分を調整し、サブユニットcの蓄積の有無を定量的に検証することを目指す。免疫染色においては現在大脳皮質や、海馬、小脳などでの検証が主であるため、パーキンソン病と関係が深い黒質-線状体においての検討を進める。また、Parkin-/-マウスに更なるストレスを与えた際のマイトファジーの寄与に関する遺伝学的な検証を進める。
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