研究課題
神経毒であるmethy-phenyl-tetrahydopyridine(MPTP) をインフュージョンポンプを用いて投与することによって作成したパーキンソン病モデルマウスにおける黒質神経細胞のミトコンドリアの超微形態の検討を行った、MPTP投与後4週後および対照群の黒質神経細胞の透過電子顕微鏡(TEM)観察を行った。MPTP投与群では、対照群と比べて、丸く粗大なミトコンドリアが細胞質を占めていることが分かった。高倍率の観察では、ミトコンドリア内でのクリステの不均一な分布を認め、クリステがミトコンドリアの中央に長軸に沿って層板状に集積し、周辺には内腔が開大したクリステが配置するものが大部分であった。膨化が顕著なミトコンドリアでは層板状に集積したクリステの境界が不明瞭になり電子密度の高い塊状の構造を呈したものが観察された。さらに膨化が極度に顕著になものは、外膜・内膜は認めたが、クリステとマトリックスを認めない空胞状の形態を呈した。さらに新たに導入した収束イオンビーム(FIB)搭載走査型電子顕微鏡(SEM)システム(FIB/SEM)を用いた黒質神経細胞のミトコンドリアの電子顕微鏡レベルの三次元構築を試みた。30nm単位の切削と得られた切削面の走査電子顕微鏡観察を繰り返し、得られた像より黒質神経細胞の核とミトコンドリアだけを描出(セグメンテーション)し、3次元再構築像を得た。その結果、MPTP投与群ではサイズの大きな球形のミトコンドリアがしばしば細長いミトコンドリアと連続していた。また、得られた連続切片の観察により、極めて大きく膨化した空胞状のミトコンドリアは、細胞体より突起に多く観察される傾向も認められた。以上は、MPTP投与によるパーキンソン病モデルマウスにおいても、ミトコンドリアのクリステの変化が顕著であることを示すものである。
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