腎臓を支配する自律神経系は体液恒常性の維持や腎障害の慢性化に影響する。腎神経の作用経路を解明するために腎神経の局在および腎支配区域を調べた。ラット腎神経を特異的に標識することにより、腎神経は交感神経幹および腎上神経節(SrG)が主神経節であり、交感神経幹は腎尾側部を、SrGは腎吻側部を支配していることが明らかとなった。副交感神経が確認されなかったことから、非神経性作用経路の存在が示唆された。腎神経温存虚血/再灌流ラットモデルを用い交感神経系の活動と神経受容体の発現をみたところ、受容体に変化はみられず、神経伝達物質の発現が増強していたことから交感神経の活動亢進が腎障害慢性化因子と考えられた。
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