研究課題/領域番号 |
25460279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
上坂 敏弘 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 客員研究員 (90304451)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経堤細胞 / ヒルシュスプルング病 / 細胞ソース |
研究概要 |
腸管ニューロンは主に迷走神経堤由来であることが知られている。一方、末梢神経線維には培養条件下で神経堤幹細胞様の特徴を示すDhh陽性細胞がマウス胚の時期に存在することが示されていた。腸管に投射する神経線維に存在するDhh陽性細胞からも腸管ニューロンが産生されている可能性を検証するために当該年度は下記の事を実施し、研究を進めた。 1. Dhh陽性細胞を遺伝学的に標識するためにDhh::Creトランスジェニックマウスを用いて、細胞を蛍光タンパクで標識した。その結果、Dhh::Creはマウス胚発生過程において、腸管に投射する外来性の神経線維上のシュワン細胞前駆細胞様の細胞 (SCPLCs) を標識するが、迷走神経堤由来の腸管前駆細胞を標識しないことを確認した。このことは以前報告されている事と一致している。 2. 腸管膜の神経線維からSCPLCsをp75NTR抗体によるimmunoselectionによって単離し、培養条件下でDhh陽性SCPLCsからニューロンが出来ることを確認した。 3. マウス腸においてSCPLC由来の細胞の分布を調べたところ、主に大腸において存在し、小腸においては主に粘膜下神経節に存在した。これらの細胞のほとんどは、グリア細胞であったが、ニューロンも認められた。さらに、迷走神経堤由来の腸神経前駆細胞が存在しない状態で、生じたニューロンがSCPLCs由来であることが遺伝学的に示された。 これらの結果から、当初予想 (仮定)していた外来性神経線維由来のSCPLCsが腸管ニューロンの新たな細胞ソースである可能性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予備実験の段階で予想されたことが的中した結果になったので、種々のマウスラインのかけ合わせなど、実験材料の準備に期間を要するにもかかわらず、マウスの実験系が確立できたので、解析が予定より早く開始でき、かつ順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
生体内において、シュワン細胞系譜由来のニューロン新生が、生理的条件下、もしくは神経ネットワークを欠損した疾患条件下で、どのような役割を担っているかを解析する。さらにシュワン細胞系譜からの分化転換に寄与する分子制御機構の基盤となる分子群の同定を進める。
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