研究課題
心臓は心筋細胞が収縮弛緩を繰り返すことにより、全身に血液を送り出すポンプとして働いており、その働きは一定ではなく、運動時や高血圧などの負荷が加わったとき、あるいは心不全といった病的な条件下では、収縮性が変化する。心筋細胞内のカルシウムは心臓の働き(収縮弛緩)を調節する重要な因子である。同時に心臓はその働きを維持するため、あるいは働きの変化に応じて酸素消費量を変化させる。また心筋細胞は多くミトコンドリアを持つことからも、エネルギー産生と消費を活発に行っている臓器の一つである。本研究の目的は、遺伝子コード型蛍光カルシウムプローブ(genetically encoding calcium indicators; GECIs)の一つであるG-CaMPを用いて丸ごと心臓でのカルシウムイメージングによる細胞内カルシウム濃度の変化と心臓一拍毎の心筋酸素消費量と発生する総機械的エネルギーの関係を明らかにするために、それらの同時計測実験系を確立することである。申請者は、独自のラット血液交叉灌流摘出心臓の実験系を用いて、左心室圧―容積関係から総機械的エネルギーを求め、同時に冠循環の動静脈血液酸素濃度較差のリアルタイム測定により心筋酸素消費を算出することで、心臓の収縮機能とエネルギー消費の関係について研究を進めてきた。さらに本研究では、丸ごと心臓でのカルシウムイメージングを加えることで、心臓の収縮性の変化、酸素消費、カルシウムトランジェントの関係を明らかにする。そこで、改良型G-CaMPとDsRed(赤色蛍光)の2つの遺伝子を同時発現するトランスジェニックラットを作製し、2波長による計測ステムの構築を行った。しかし、多くの問題が明らかとなり、その問題解決に向けて研究を行っている。もし問題解決ができれば、世界に類のない学術的にも臨床的にも意味深い成果を得られると確信している。
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PLoS One
巻: 29 ページ: e0141650
doi: 10.1371/journal.pone.0141650.
巻: 29 ページ: e0133981
10.1371/journal.pone.0133981.