研究課題
前駆体型ニューレグリン1(NRG1)の適切なプロセッシング調節機構は、ErbB受容体を介した下流のシグナル伝達に生理的な強い影響を与え、非常に厳密に制御されている。しかし、そのプロセッシングまでの過程について、つまり、ゴルジ体から細胞膜までのエキソサイトーシス制御についてはほとんど明らかになっていない。本研究では、ニューレグリン1のその正確な分泌量を測定する系を開発し、細胞内局在と分泌量を同時に検出することが可能となる、ニューレグリン1遺伝子の細胞外領域と細胞内領域の両方にV5エピトープタグ配列を挿入したプラスミドベクターを作製し、培養神経細胞に導入した。平成26年度までに、このプラスミドベクターが神経細胞において機能することを確認できた。 しかし、野生型とDISC1変異型の神経細胞において、V5-ニューレグリン1の発現による分泌量を比較したが、有意な結果は得られなかった。最終年度となる平成27年度は、ニューレグリン1前駆体のエキソサイトーシス経路を可視化するために、ニューレグリン1遺伝子の上流にFM4ドメインを融合させたプラスミドベクターの改良版を作製した。この改良版によるV5-ニューレグリン1の発現はシールド1化合物の添加により、FM4ドメインが小胞体およびゴルジ体膜より解離した。つまり、V5-ニューレグリン1の分泌制御を人為的にコントロールすることが出来た。この系を用いることにより、ニューレグリン1の分泌制御の定量的な測定が可能になり、DISC1ノックアウトマウス由来の神経細胞でその分泌量が減少していたことを明らかにした。
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PLoS One
巻: 11 ページ: e0153224
10.1371/journal.pone.0153224
巻: 10 ページ: e0118072
10.1371/journal.pone.0118072