研究課題/領域番号 |
25460296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
藤田 孝之 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40468202)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高血圧 / EPAC |
研究概要 |
新規cAMP標的分子であるEPAC1の血圧制御における役割を検討中である. 食塩負荷による血圧上昇反応へのEPAC1の関与を検討するために,EPAC1 ノックアウトマウスに高塩分食を摂取させ,それによる血圧上昇の程度を野生型マウスと比較する実験を開始した.血圧はテレメトリーを用いて自由行動下で評価.食塩負荷による血圧上昇には交感神経活性化が関与する可能性があり,浸透圧ポンプを使用してβカテコラミン受容体刺激薬を持続的に皮下投与した状態でも同様の検討を行いサンプル数を蓄積している. また,体液量や電解質の制御等におけるEPAC1の役割を評価するために,EPAC1ノックアウトマウスの尿量や尿,血液中電解質,浸透圧等の評価を代謝ケージを用いて開始した.定常時に加え,水分摂取制限や抗利尿ホルモン投与への反応についての検討も並行して施行している.EPAC1ノックアウトマウスでは水分摂取制限時の尿量が,野生型マウスよりも多い傾向がみられた.これは予備実験で観察された“EPAC1ノックアウトマウスは飲水量が多い”という所見と一致する結果であり,EPAC1の体液量保持における重要性が示唆される. 細胞実験としては,体液量制御におけるEPAC1の役割の更なる検討の為に集合管細胞の培養を開始し,抗利尿ホルモン刺激によるアクアポリンの発現量,局在の変化を,免疫染色,ウエスタンブロッティング法などで評価している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テレメトリーによるEPAC1ノックアウトマウスの血圧評価実験が進行している.また,代謝ケージを用いた実験によりEPAC1の体液量維持における重要性が明らかになってきている.それを受けて,体液量調節に中心的役割を果たしている抗利尿ホルモンの作用におけるEPAC1の役割を評価する実験が,動物実験,細胞実験いずれにおいても開始されている.
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今後の研究の推進方策 |
今後動物実験についてはサンプル数を増加させ,EPACの血圧調節における役割を様々な条件下で評価する.体液維持におけるEPAC1の重要性が明らかになりつつあるため,水分制限状況などでの評価も考慮する.また,アンジオテンシンII刺激下での血圧評価も行う予定である. 細胞実験では今後SiRNAやアデノウイルス,EPAC刺激薬,阻害薬などを用いて,EPACの機能を更に評価する.
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