研究課題
本研究はアポリポ蛋白Eの受容体であるLRP1とシナプス後膜に存在するPSD-95、そしてNMDA受容体、nNOSによって形成されるLRP1-NMDA-R-PSD-95-nNOS複合体の消化管神経における機能についてin vivo, in vitroの各系で検討し、食物中脂質成分による上腹部症状の発現機序として脂質摂取によるアポEシグナルの増加がLRP1-NMDA-R-PSD-95-nNOS複合体を介して消化管運動不全を惹起している可能性について検討することを目的とするものである。平成25年度にJackson研究所で既に樹立されたLRP1のloxPマウスを購入し、本大学の生理学研究室で作製された消化管神経を含む神経堤由来領域特異的にCre蛋白とGFP蛋白を発現させたマウス(Cell DStem Cell.2:392-403,2008)との交配を開始し、Cre/loxPシステムによる神経堤由来領域特異的なLRP1遺伝子の欠失を試み、産仔を得ることができた。平成26年度にこの産仔の遺伝子解析を行ったところ、LRP1のホモ欠損マウスは得られておらず、ヘテロ欠損マウスのみが得られていることが判明した。ホモ欠損マウスは受精以降のいずれかの段階で致死的になっていることが推察された。引き続き、ヘテロ欠損マウスの表現形の解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
LRP1のノックアウトは胚レベルで致命的になることが既に報告されており(Cell 71:411-21, 1992)、消化管神経でのLRP1の機能解析のためには消化管神経特異的なLRP1の条件的ノックアウトが必要になる。既報のLRP1条件的ノックアウトマウスの作製においてはCre/loxPシステムが用いられている(J Clin Invest. 101:689-95, 1998)。Cre/loxPシステムは臓器特異的にCre蛋白を発現させたマウスと目的遺伝子をCreリコンビナーゼ標的配列loxPで挟んだマウスを交配させることで、臓器特異的な目的遺伝子の欠失を起こさせるシステムである。平成25年度には購入したLRP1のloxPマウスと本大学の生理学研究室から分与していただいた消化管神経を含む神経堤由来領域特異的にCre蛋白とGFP蛋白を発現させたマウス(Cell DStem Cell.2:392-403,2008)との交配を開始し、Cre/loxPシステムによる神経堤由来領域特異的なLRP1遺伝子の欠失を試み、産仔を得ることができた。平成26年度にこの産仔の遺伝子解析を行ったところ、LRP1のホモ欠損マウスは得られておらず、ヘテロ欠損マウスのみが得られていることが判明した。ホモ欠損マウスは受精以降のいずれかの段階で致死的になっていることが推察された。引き続き、ヘテロ欠損マウスの表現形の解析を行っている。
平成25年度には購入したLRP1のloxPマウスと消化管神経を含む神経堤由来領域特異的にCre蛋白とGFP蛋白を発現させたマウス(Cell DStem Cell.2:392-403,2008)との交配を開始し、Cre/loxPシステムによる神経堤由来領域特異的なLRP1遺伝子の欠失を試み、産仔を得ることができた。平成26年度にこの産仔の遺伝子解析を行ったところ、LRP1のホモ欠損マウスは得られておらず、ヘテロ欠損マウスのみが得られていることが判明した。ホモ欠損マウスは受精以降のいずれかの段階で致死的になっていることが推察された。平成27年度はヘテロ欠損マウスの表現形の解析を行う。方法としては研究代表者が本邦で初めてOrgan bathによる消化管の長短軸方向の長さの経時的変化及び単位時間あたりの蠕動回数を定量や排便回数等の行動学的解析や胃、小腸、大腸の粘膜層を剥離して、筋層及び筋間神経叢のみとした標本を作成し、神経伝達物質であるNOを産生するnNOSや同じく神経伝達物質であるアセチルコリンを合成する際に働く酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼ の mRNA発現を定量的RT-PCR法で、蛋白質発現量をウエスタンブロット法によって定量する。また、蛋白質レベルの発現量としてはAuerbach神経叢の全層標本も作成し、蛍光免疫染色及びNADPH-diaphorase染色により、神経叢内神経のサブタイプ解析や消化管グリア細胞の発現の変化についても検討する。
残額を使用して購入すべき物品がなかったため
平成27年度の消耗品の購入において使用する予定である
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