研究課題
一酸化窒素(NO)が細胞内カルシウム(Ca2+)上昇を引き起こすことを中枢神経系で発見した。NOによるCa2+上昇は、細胞内小胞体にあるリアノジン受容体を介するCa2+放出機構によるものであり、これが神経細胞死に関与していることを明らかにした。本研究では、神経細胞と同様に神経型NO合成酵素とリアノジン受容体が共発現している骨格筋において、NOによるCa2+放出機構(nitric oxide-induced calcium release; NICR)の生理的および病態生理的意義を解明することを目的とした。前年度から引き続いてCa2+によるCa2+放出(calcium-induced calcium release; NICR)が亢進している悪性高熱症感受で報告されているリアノジン受容体遺伝子変異におけるカルシウムシグナルを解析した。野生型および悪性高熱症変異型リアノジン受容体遺伝子をHEK細胞に安定発現した系を用いてCICR活性、NICR活性、静止時細胞質Ca2+濃度測定、及び分子動力学計算法によるシミュレーションを行い、機能的変異を多角的、定量的に解析する方法を開発した。これより、分子動力学計算法の用いたシミュレーションの結果とカルシウムシグナルによる機能解析に相関が認められた。前年度から繁殖させている、NICRを阻害した小動物(リアノジン受容体がS-ニトロシル化を受ける3636番目のシステイン残基をアラニン残基に置換したRyR1-C3636Aノックインマウス)の骨格筋初代培養細胞を用いて、骨格筋幹細胞の増殖速度及び、多核の骨格筋細胞への分化について差異があるか検証したところ、野生型とRyR1-C3636Aノックインマウスには有意な差が認められなかった。これより、これらの過程にはNICRの寄与が少ないことが明らかになった(論文投稿中)。筋損傷における。NICRの寄与については解析中である。
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