研究課題/領域番号 |
25460306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原田 景太 産業医科大学, 医学部, 助教 (50399200)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ムスカリン受容体 / ノックアウトマウス / 低血糖 / アドレナリン / インスリン |
研究概要 |
血中の糖が減少すると副腎髄質細胞からカテコールアミンが分泌されるが、インスリンにより誘発される低血糖は血中のアドレナリンは増加させるがノルアドレナリンは変化しないことが知られている。この低血糖時のアドレナリン分泌はニコチン受容体ではなくムスカリン受容体を介して行われている可能性がある。本研究では、低血糖時のアドレナリン分泌におけるムスカリン受容体の生理的役割を明らかにするために、ムスカリン受容体ノックアウトマウスを用いこれらの分子レベルから個体レベルまでの解析を行うことを目的としている。平成25年度は野生型および2種のムスカリン受容体KOマウス(M1M4KOマウス、M1M2M4KOマウス)を用い、インスリン投与実験を行った。インスリン投与O、1、2、4時間後にサンプリングを行い、血糖値を測定した。また血漿中および副腎髄質内のカテコールアミンをHPLCにより測定した。野生型マウスにおいて、血糖値はインスリン投与1時間後にすみやかに減少(正常値の約一割程度の値)した。しかし4時間後には若干回復した。血漿アドレナリンは隣スリン投与1~2時間後に劇的に増加した。ノックアウトマウスを用いても同様な実験を行ったが野生型マウスとの明確な差は得られなかった。これは実験に用いたマウスの個体数が少ないためにそれぞれのマウスにおける傾向が得られなかったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
安定なインスリン投与実験を行うためのプロトコール作成に時間がかかり、実験回数がこなせなかった。マウスを絶食状態において実験をスタートするのだが、個々のマウスにより摂食時間がことなり、コントロール(インスリン投与0時間後)の血糖値のばらつきが大きかった。これを克服するために摂食時間の調整を行った。具体的に、まず24時間絶食しその後2時間摂食させる。更に24時間絶食させた後インスリン投与実験を行った。また、少量のマウスの血液中のカテコールアミン測定が難しく、実験当初は正確な値が得られなかった。特殊なフィルターを用いることで微量血液中のカテコールアミンも感度よく測定できるよう改良を行い、現在は測定の精度が格段に増した。
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今後の研究の推進方策 |
実験プロトコールおよび測定方法が確立できたので、今後は計画通り実験を遂行できると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時に、交付一年目に老朽化したHPLCのポンプおよびデータ解析機を購入する予定で予算計上を行った。しかし、実際交付された金額ではポンプを購入することができず、その分余剰が生じた。 マウスの飼育費が予定よりかかっており、2年目以降この繰越金により賄う。HPLCを更新することが出来なかったため、メンテナンスを行う予定である(約10万円)。概ねこれらで繰越金が消費される。
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