研究課題/領域番号 |
25460310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐々木 努 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (50466687)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SIRT1 / FoxO1 / 視床下部 / レプチン / POMC |
研究概要 |
視床下部は全身のエネルギーバランスの制御中枢であり、全身のエネルギーバランスを担う「代謝シグナル」情報を液性・および神経性経路を介して受け取り、その情報を統合し、神経系や内分泌系を介して摂食・エネルギー消費行動を制御する。視床下部弓状核は、末梢からの代謝シグナルのプロセシングに重要な一次中枢である。そこにはエネルギーバランスを正に制御するNPY/AgRP陽性ニューロンと負に制御するPOMC陽性ニューロンが存在する。両者の神経活動のバランスが二次中枢の活性を制御し、摂食行動やエネルギー消費を制御する。 NAD+依存性タンパク脱アセチル化酵素であるSirt1は、カロリー制限による健康長寿を担うと同時に加齢とともに視床下部弓状核で減少する。加齢は全身のエネルギーバランスの破綻の結果起こる肥満のリスクファクターの一つである。 我々は、POMCニューロン特異的およびAgRPニューロン特異的Sirt1過剰発現マウスなどを用いて弓状核のSirt1が全身のエネルギーバランス制御において果たす役割について解析した。その結果、視床下部弓状核でのSirt1の過剰発現は、加齢に伴う体重増加を抑制しレプチン抵抗性を改善することを明らかにした。他方、食事性肥満抵抗性は認められず、逆に食事性肥満が視床下部弓状核のSirt1タンパク量と視床下部のNAD+量を減少させることを明らかにした。 そこで、POMCニューロン特異的なインスリン抵抗性(核内滞留型)FoxO1変異体発現は過食による肥満を誘導することが知られている。そこで我々は、POMCニューロン特異的に核内滞留型FoxO1とSirt1のダブルノックインマウスを作成し、視床下部Sirt1がインスリン抵抗性による過食・肥満を是正し、それにはSIRT1によるFOXO1の脱アセチル化を介したタンパク量の制御が関与することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
POMCニューロン特異的なFoxo1とSirt1ダブルノックインマウスの解析を予定通り進めることができ、論文投稿準備中の段階にまで至ったため。
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今後の研究の推進方策 |
論文投稿に必要な追加実験として、動物で認められた表現型を説明するための培養細胞での実験データを追加し、論部化する予定である。
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