研究課題/領域番号 |
25460316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
向阪 彰 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00458051)
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研究分担者 |
和気 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50274957)
グホ サビン 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (30453179)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心不全 / 時計遺伝子 / ミトコンドリア |
研究概要 |
本研究課題の仮説である「時計遺伝子Bmal1は心筋のエネルギー代謝調節を介して心機能を維持している」ことを証明するために、平成25年度は心臓特異的Bmal1ノックアウト(H-Bmal1-/-)マウスを用いて以下の実験を行った。 1.超音波画像診断装置を用いたH-Bmal1-/-マウスの心機能の解析 2.H-Bmal1-/-マウスの心臓の形態学的・組織学的評価 3.マイクロアレイを用いたH-Bmal1-/-マウスの心臓に発現する遺伝子の網羅的解析 4.H-Bmal1-/-マウスの心臓におけるATPレベルの解析 超音波画像診断装置による解析の結果、H-Bmal1-/-マウスの左室内径短縮率は有意に低下しており、心臓でのBmal1機能の欠損は心機能を低下させることが分かった。肉眼的にH-Bmal1-/-マウスの心臓は対照群に比べて大きく、また、HE染色による心臓組織切片の観察では左心室壁の肥厚が認められた。このようなBmal1機能欠損による心肥大および心機能低下のメカニズムを解明するために、マイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的解析を行った。マイクロアレイ解析の結果、H-Bmal1-/-マウスの心臓では、糖・脂質代謝のみならず、TCA回路やミトコンドリアの酸化的リン酸化等エネルギー代謝に関連した遺伝子の多くに発現レベルの低下が認められた。このことをふまえて、心臓のATP含有量の測定を試みたが、心臓を解剖採取する際に血液等の心筋細胞外に存在するATPが混入し、心筋内に存在するATP量を正確に測定することができず断念した。しかしながら、ここまでの実験結果から、Bmal1遺伝子は心臓においてエネルギー代謝調節に関わっている可能性があること、そしてBmal1の欠損により心機能が低下することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋のATP含有量測定など一部に実験手技的な問題が生じたものの、実験の大部分は計画通りに進んでいることから達成度は上記のとおりとした。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画は順調に進んでおり、次年度は心機能維持における時計遺伝子とミトコンドリア機能の関連を調べていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子発現解析のための試薬の消耗が、節約等によって予定していた量よりも少なく済んだため。 翌年度は、遺伝子解析の頻度が増えること、また、ミトコンドリア機能解析の費用がかさむことから、繰り越し額および翌年度分の助成金はそれらに使用したい。
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