研究課題/領域番号 |
25460317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
高瀬 堅吉 東邦大学, 医学部, 講師 (80381474)
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研究分担者 |
黒田 優 東邦大学, 医学部, 教授 (10170135)
小田 哲子 東邦大学, 医学部, 講師 (90224237)
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 准教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肥満 / 行動 / メラニン凝集ホルモン / ヒストン脱アセチル化酵素 |
研究概要 |
これまで代表者は、げっ歯類を対象とした網羅的行動解析、生理学的、生化学的解析を展開し、出生後の環境が、個体の学習・記憶機能および統合失調症発症に与える影響について明らかにした。また、現所属機関に赴任後、食環境が脳機能に与える影響とその分子機構について、網羅的行動解析、形態学的解析を組み合わせた手法で検討し、高脂肪食を継続的に給餌したマウスが様々な行動変容を呈することをパイロット研究の結果から示した。多様な行動変容は、脳局所における機能的、形態的変化ではなく、脳全体における変化が仮定され、その原因として脳全体に広く投射する神経修飾物質分泌ニューロンの機能的変化が示唆される。そこで、神経修飾物質を標的とした遺伝子改変マウスの行動表現型に関する複数の報告と、肥満マウスの行動表現型に関するデータを比較したところ、肥満マウスの行動変容はメラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone、MCH)を欠損したマウスの行動変容と類似しており、簡易的に測定可能な行動表現型項目において相同性を示すことを示唆した。平成26年度は、パイロット研究で得られた肥満マウスの行動表現型をさらに精緻に検討し、これまでにファスト・スクリーニングで得られるほぼすべての行動表現型についてデータを得ることに成功した。また、MCH欠損マウスとの詳細な比較を行うために、これまで報告されたMCH欠損マウスのほぼすべてのデータに対してメタ分析を行い、肥満マウスが呈する表現型との定量的比較を可能にするメタ分析結果を得た。この結果はPLoS One誌に投稿し、現在Minor Revisionの評価を頂き、再投稿準備中である。これにより、神経修飾物質分泌ニューロンに発現するヒストン脱アセチル化酵素ファミリー発現の検討および肥満マウスの脳のMCH投射領域におけるMCH含有量の測定の準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は神経修飾物質分泌ニューロンに発現するヒストン脱アセチル化酵素ファミリー発現の検討および肥満マウスの脳のMCH投射領域におけるMCH含有量の測定を終える予定であった。しかし、肥満マウスの行動変容がMCH欠損マウスの行動表現型と類似することを確定的に示すためには、さらなる行動解析が必要であることが判明し、その解析に時間を要した。また、MCH欠損マウスが示す表現型は報告間で異なることも判明し、これに統一的な見解を見出すために、メタ分析を行う必要性が生じた。そのため、当初予定していた実験の着手までに時間がかかったが、平成25年度に得られた基礎的データにより、神経修飾物質分泌ニューロンに発現するヒストン脱アセチル化酵素ファミリー発現の検討および肥満マウスの脳のMCH投射領域におけるMCH含有量の測定について、より頑強なデータを蓄積する見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は神経修飾物質分泌ニューロンに発現するヒストン脱アセチル化酵素ファミリー発現の検討および肥満マウスの脳のMCH投射領域におけるMCH含有量の測定について、より頑強なデータを蓄積する。そして、ヒストン脱アセチル化酵素発現の変化に伴う他の遺伝子発現変化の解析など、申請書に記載されているその他の実験について順次行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進行について、精緻な行動解析の必要性、MCH欠損マウスのメタ分析の必要性など、当初の計画とは異なる状況が生じた。そのため、未使用額が生じた。 当該研究費を合わせて、進行が遅れている実験ならびに、平成26年度に予定されていた実験を遂行する。
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