研究課題/領域番号 |
25460321
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
長谷 都 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20450611)
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研究分担者 |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10442716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妊娠 / 出産 / 子育て / 海馬 / 学習機能 / AMPA受容体 |
研究実績の概要 |
電気生理学的解析ー同週齢の経産ラット(N=20、Long Evans; LE系、産後5週齢かつ生後16週齢、発情前期)と未経産ラット(N=20、LE系、生後16週齢、発情前期)海馬CA1の単一細胞を用いてパッチクランプ膜電位固定法を行う。1)AMPA受容体のサブユニットの構成の解析ー電気刺激により-60 mV時のEPSCと+40 mVのEPSCを記録し、前者の値を後者の値で除したRectification Index(RI)という。RI値によって、シナプスに挿入されたAMPA受容体のサブタイプが通常のものなのか、GluR2-lacking AMPA受容体なのかが明らかとなる。その結果、経産ラットは未経産ラットと比較して有意にRIの上昇がみられた。2)飽和試験による解析ーLTPがこれ以上誘導されない状態を観察する(LTPの飽和;occlusion)、飽和試験を行う。生体では、LTPの飽和状態に陥ることで、学習、記憶が障害される。テタヌス刺激は、0 mV、10Hz、90秒間のpaired刺激で行う。未経産ラットでは、LTPを誘発することが出来なかったが、経産ラットではLTPを誘発することができた。 生化学的解析ー同週齢の経産ラット(N=8、LE系、産後5週齢かつ生後16週齢)と未経産ラット(N=8、LE系、生後16週齢)に両側の海馬をブレインスライサーで2mm切り出し、シナプトソーム分画を施した後、ウェスタンブロットを行う。GluR2の発現が経産ラットで有意に未経産ラットより高いことがわかった。 上述した電気生理学的解析および生化学的解析により、妊娠、出産、子育て後に、ラット海馬のAMPA受容体のサブユニットの構成が変化した可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気生理学的解析は、おおむね順調に進展している。生化学的解析は、妊娠、出産、子育てがAMPA 受容体を介したシグナル伝達系を利用し、学習機能の向上に影響を与えているのか明らかに出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
生化学的解析は、妊娠、出産、子育てがAMPA 受容体を介したシグナル伝達系を利用し、学習機能の向上に影響を与えているのか明らかに出来ていない。本年度は、生化学的解析を中心に、研究を進めて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気生理学的な解析を本年度は中心に行ってきたことより、生化学的解析の遅れたことが原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
生化学的解析を中心に行うことから、ウェスタンブロット法で用いる抗体を購入する。シグナル伝達経路の候補が1経路でないことから、多数の抗体購入を考えている。
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