研究課題
がん化学療法では,静脈内投与した抗がん剤の血中濃度を治療有効域に維持することは難しい.また,標的の腫瘍組織に対する細胞毒性効果が正常組織にも波及して重篤な副作用を生じる場合も多い.これらの問題を克服するため,抗がん薬を効率良く標的部位に到達させる運搬体の開発が精力的に行われている.しかし,薬物の「血中での安定な保持・運搬」と「標的部位での特異的放出」という,相反する性質を兼ね備えなければならないジレンマが存在する.申請者らは,これまでに“ICG修飾リポソーム”(特願2010-124252号・PCT/JP2011-00306)を開発し,EPR効果とICGが有する光吸収特性を利用した「光線力学的温熱化学療法」を開発してきた(特願2011-223273号・PCT/JP2012/076259).今年度は,悪性黒色腫幹細胞の表面マーカーであることが報告されているCD271を特異的に認識するRNA医薬のさらなる最適化を目指し,物理化学的評価・細胞生物学的評価を実施した.さらに,“ICG修飾リポソーム”の適応拡大を目指し,脳腫瘍モデルおよび筋挫傷モデルにおける集積機能について検討を行った.皮下に移植した腫瘍組織だけでなく,脳内に移植した腫瘍組織にも特異的に集積することが確認された(Int J Pharm. (2015) 496 401).また,筋挫傷モデルの血管損傷部位においても,“ICG修飾リポソーム”の特異的な集積と治療効果が確認された(J Orthop Res.(2015) 33 1034).
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Chem. Sci.
巻: 7 ページ: 1514-20
10.1039/C5SC03540F
PLoS One.
巻: 10 ページ: e0122849
10.1371/journal.pone.0122849.
J Orthop Surg Res.
巻: 10 ページ: 50
10.1186/s13018-015-0193-9.
J Orthop Res.
巻: 33 ページ: 1034-8
10.1002/jor.22832.
Int J Pharm.
巻: 496 ページ: 401-6
10.1016/j.ijpharm.2015.10.001.
ファルマシア
巻: 51 ページ: 1042-46
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/bioinfor/html/gyouseki.html