研究課題
基盤研究(C)
アドレノメデュリン(AM)は、血管拡張作用をはじめ、抗酸化作用、抗炎症作用など多彩な生理活性を有する内因性ペプチドである。AMとAMの受容体活性制御タンパクであるRAMP2は脂肪細胞でも高発現を認めるが、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割や、メタボリックシンドロームにおける病態生理学的意義は明らかでない。本研究では、新たに脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を樹立し、AM-RAMP2システムの、脂質代謝およびエネルギー代謝調節における意義や、脂肪細胞の分化制御における役割を解明し、それらの知見をもとに、メタボリックシンドロームの新たな治療法開発へ展開することを目的とした。平成25年度は、樹立したA-RAMP2-/-の表現型解析および生理機能解析を行った。A-RAMP2-/-のRAMP2遺伝子発現は、白色脂肪組織および褐色脂肪組織において、野生型マウスの約20%に低下した。A-RAMP2-/-は野生型マウスと比較して、普通食投与下において若年期より体重の増加と脂肪組織重量の増加を示した。また、オキシマックス等流量システムによる呼吸代謝測定により、A-RAMP2-/-は野生型マウスと比較して、酸素消費量の低下および呼吸商の上昇が見られた。以上の結果より、脂質代謝およびエネルギー代謝調節に、脂肪細胞のAM-RAMP2システムが関与することが示唆された。さらに詳細なメカニズムを解明することにより、AM-RAMP2システムが治療の有用な標的となるか明らかになると考える。
2: おおむね順調に進展している
脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)の表現型解析および生理機能解析を行った。A-RAMP2-/-は、野生型マウスと比較して、普通食投与下において体重の増加と脂肪組織重量の増加を示した。また、オキシマックス等流量システムによる呼吸代謝測定により、A-RAMP2-/-は、野生型マウスと比較して、酸素消費量の低下と呼吸商の上昇が見られた。以上の結果より、脂質代謝およびエネルギー代謝調節にAM-RAMP2システムが関与することを明らかにした。当初目的としていた表現型解析ができているため、おおむね順調に進展していると判断できる。
平成26年度は、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)の白色脂肪組織と褐色脂肪組織の解析を中心に行い、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割をさらに詳細に解析する。また、A-RAMP2-/-に高脂肪食を投与して肥満誘導モデルを作成し、肥満およびメタボリックシンドローム病態での脂肪組織の解析を行い、普通食投与マウスと比較することにより、脂肪細胞におけるAM-RAMP2システムの役割をより明確にする。
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