研究課題/領域番号 |
25460332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
土屋 浩一郎 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70301314)
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研究分担者 |
石澤 啓介 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60398013)
池田 康将 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60432754)
玉置 俊晃 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80179879)
木平 孝高 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90377276)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 亜硝酸塩 / 糖代謝 / 脂質代謝 |
研究概要 |
本研究の目的は、食餌性亜硝酸による臓器保護作用のメカニズム、特にAMPKとの関係について明らかにすることである。これまでの検討で、L-NAME惹起腎障害モデルラットに対しヒトが日常的に野菜から摂取する量の亜硝酸塩を経口投与することで腎保護作用を見いだし、また、亜硝酸塩は体内で還元を受け一酸化窒素(NO)として生理作用を発揮するだけでなく、培養細胞において直接AMPKを活性化することを見いだしている。ところでNO産生増加およびAMPK活性化は糖尿病などの代謝性疾患と密接な関係があることが知られている。そこで平成25年度は高脂肪食負荷インスリン抵抗性惹起ラットに対する亜硝酸塩摂取による影響を検討した。 Wistar系雄性ラットを3群(通常食、高脂肪食、高脂肪食+亜硝酸Na(1 g/L飲水))に分け、2週間飼育した。通常食群と比べ高脂肪食群は硝酸塩の有無にかかわらず体重は有意に増加した。高脂肪食群は通常食群と比べ耐糖能は悪化し血中インスリン濃度やトリグリセライド濃度も有意に増加したが、亜硝酸塩の併用によりインスリン感受性の改善と血中インスリン値の低下、それに基づくHOMA-IRの改善、血中トリグリセライドの有意な低下、そして肝臓における脂質合成転写因子・糖質応答転写因子の低下が観察された。培養肝細胞において亜硝酸イオンはAMPKを活性化するが、AMPKの活性化は脂質合成転写因子・糖質応答転写因子の抑制に関わることが報告されており、今回のin vivoの結果から、亜硝酸イオンには糖・脂質代謝改善効果があり、その効果にはAMPKが関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画では、細胞実験でAMPK活性化機序の解明と、動物実験で亜硝酸塩による臓器保護作用を検討する予定であったが、培養細胞実験ではFaO細胞における亜硝酸イオンによるAMPK活性化を観察した。平成25年度は予備的動物実験を計画していたが、高脂肪食と亜硝酸塩の同時投与により、亜硝酸塩による糖脂質代謝改善効果が見いだされ、さらにそれらに関連する肝臓における遺伝子発現も検討できた。腎臓については現在検討中であるが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
我々の研究のほか、国内外の他のグループの報告においても、亜硝酸塩は代謝に関与することのエビデンスが蓄積されつつある。従って、申請書類にも記したように、腎臓を含む様々な組織にも目を向けた研究が必要と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1月の請求で残額が0円の予想で消耗品を発注したが、定価と納入価格の間に差があったため、1760円のズレが生じた。 次年度の消耗品に使用する。
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