研究課題
基盤研究(C)
平成25年度はクラスリンについて研究し、以下の結果を得た。1)CHC22マウスの骨格筋再生異常の観察:クラスリンCHC22を強制発現させたマウス(CHC22TGマウス)で、骨格筋再生が停滞することが判明した。そこで、私はこのマウス由来の筋幹細胞の筋分化について培養条件下で検討した。CHC22TGマウスの筋芽細胞は野生型マウスと比較して分化は早いものの、やがて萎縮し、脱落した。これは、CHC22がメンブレントラフィックを停滞させた結果だと考えられる。この研究結果はHoshino, Sakamoto, et al., 2013としてPLOS ONEから出版した。2)CHC17/22の飢餓ストレスによる脱重合:クラスリンの重合脱重合は正常なメンブレントラフィックを行う上で重要である。飢餓ストレスが細胞内でのクラスリンに及ぼす影響を調べたところ、クラスリンの脱重合促進が明らかになった。次いで、飢餓条件時に活性化するAMP依存性キナーゼの活性化薬AICARあるいはA769662によりこの効果は再現した。これは栄養条件の変化により、メンブレントラフィックが影響を受けることを示唆する結果である。本成果は現在投稿準備中である。3) CHC17の核移行:クラスリンが核で転写因子p53活性を上昇させる。そこで各種ストレスによるクラスリン重鎖の核移行をHeLa細胞で解析したところ、飢餓ストレスで核移行が促進することが見出された。さらなる解析をする目的でp53をもつMCF-7で解析を始めたが、飢餓耐性が強く安定して核移行を観察できていない。
3: やや遅れている
前項1), 2)は予定通り達成したと考えるが、前項3)については安定した実験結果を得られていないため、やや遅れ気味と判断した。
CHC17核移行の解析に関しては、p53発現細胞での実験条件を精細に定めてさらに検討する。
想定よりも実験プロトコールの適正化に時間を割いたため、高額試薬機器の発注を先延ばしにしたから。プロトコールが固まり次第、順次使用する計画である。
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Fukushima Journal of Medical Science.
巻: 60 ページ: 1-9
10.5387/fms.2013-16
PLOS ONE
巻: 8 ページ: e77787
10.1371/journal.pone.0077787
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 123 ページ: 289-294
10.1254/jphs.13R06CP