研究課題/領域番号 |
25460342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏昌 東京医科大学, 医学部, 助教 (10424178)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経変性疾患 / 神経細胞死 / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉変性症 / TDP-43 / FUS / hnRNP |
研究概要 |
TDP-43(Transactive response DNA-binding protein-43)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭葉変性症(FTLD)患者で認められるユビキチン陽性封入体の主要構成成分であり、さらに両疾患においてTDP-43遺伝子に変異が認められることからこれらの疾患の発症に密接に関与していることが示唆されている。これまで我々は、ALSおよびFTLDにおいてTDP-43の発現が上昇していることに着目し、TDP-43高発現による神経毒性を解析し、TDP-43の発現上昇は複数の神経細胞死メディエーターを介したCaspase依存性神経細胞死を誘導することを明らかにしてきた。また、TDP-43類似分子であるFUS(Fused in sarcoma)も、これらの疾患において凝集体、遺伝子変異が認められ、TDP-43と同様に両疾患に密接に関与していること示唆されている。 本研究初年度は、TDP-43およびFUSによる神経細胞死メカニズムを解析し、以下のことを明らかにした。 (1)TDP-43およびFUSは、主に核内において神経毒性を発揮する。(2)TDP-43およびFUSの神経毒性発揮には、DNA/RNA結合が重要である。(3)TDP-43はhnRNP-Uに結合する。(4)hnRNP-Uの発現低下は細胞死を誘導する。(5)hnRNP-Uの高発現はTDP-43による神経細胞死を抑制する。 以上の結果より、TDP-43誘導性神経細胞死にはhnRNP-Uが密接に関与していることが示唆された。またFUSについてもその神経毒性発揮メカニズムの一端が解明された。今後より詳細なメカニズム解析を行うことにより、ALS、FTLD両疾患の病態メカニズムの解明、治療薬開発が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TDP-43結合タンパク質のスクリーニングおよびその後の機能的な解析が進み、TDP-43誘導性神経細胞死のより詳細なメカニズムが明らかになった。さらに類似分子であるFUSについてもその高発現による毒性メカニズムの一端が解明されつつあり、本研究初年度においておおむね順調な進捗状況だと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
TDP-43に関しては、hnRNP-Uの機能的相互作用をより詳細に進めるとともに、in vivoのデータ解析を進めていく予定である。FUSに関しては、FUSにより変動する遺伝子発現解析を行い、FUSが誘導する神経細胞死の具体的な細胞死実行因子の同定を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、研究内容をより充実させるため、学会発表を見送った。そのため、旅費が省かれ、その分を物品費に補填した。以上のことから予定使用額の物品費の割合が多くなり、使用額に差異が生じた。なお、研究内容自体は順調に進捗している。 次年度の物品費に補填し、引き続き同様の研究を進めていく。
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