研究課題
スフィンゴシン1-リン酸受容体修飾薬による房室伝導ブロックの発生機序の解明に必要なモルモット心臓組織の確保および酵素的蛍光定量に必要な機器の準備を行った。クリーンモルモット(Std:Hartley、日本エスエルシー株式会社)にペントバルビタール(50 mg/kg)を腹腔内投与して麻酔を導入した。ただちに心臓を摘出し、ドライアイスで-80度に保ったchlorodifluoromethane 内で瞬間凍結した。厚さ20ミクロンの薄層切片を作製し、刺激伝導系を同定するために10枚おきに1枚に対し acetylcholineesterase 染色を行った (Sugiyama, A.et al. J. Histochem. Cytochem. 43, 601-605 (1995)) 。残りの9枚は真空凍結乾燥し、-80度で保存した。次に、分子生化学的検討を行うために必要な測定系の立ち上げを行った。今回の研究においては房室結節という微小な組織中におけるS1P受容体を介するGiタンパクを介するアデニル酸シクラーゼ活性の抑制をcyclic AMPの産生速度の低下により評価する必要がある。この目的のために、申請者らが開発した種々の微量細胞内情報伝達物質の測定を可能にする酵素的蛍光定量を行うために必要な試薬の購入、ストック溶液の準備、酵素の最適化、測定機器のキャリブレーションなど、超高感度でcyclic AMPを定量できる準備を行った。
3: やや遅れている
cyclic AMPを超高感度で測定する際に必要となる酵素のフォスフォジエステラーゼが、以前に発生した「狂牛病」の影響でシグマは供給を停止したままである。その他の企業からの供給数も限られており、入手に時間を要したため、組織を用いた実験を本年度、実施することができなかった。
年度末になり、ようやく今回の実験に必要なフォスフォジエステラーゼを確保できた。来年度は今年度準備した組織標本の生化学的分析を実施する予定である。
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