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2014 年度 実施状況報告書

テトラヒドロビオプテリン代謝の不均衡がもたらす病態とこれに対する防御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25460346
研究機関藤田保健衛生大学

研究代表者

一瀬 千穂  藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (10247653)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードテトラヒドロビオプテリン / 血管 / 一酸化窒素 / ドパミンニューロン
研究実績の概要

テトラヒドロビオプテリ(BH4)は、芳香族アミノ酸水酸化酵素の補酵素として神経伝達物質の生合成に必須の分子であるとともに、一酸化窒素(NO)合成酵素のコファクターとして血管機能の維持に関与している。本研究の目的は遺伝子改変マウスおよび培養細胞を用いて、BH4と神経発達および血管病変とのかかわりを明らかにすることである。本年度の研究実績は以下のとおりである。
(1)芳香族アミノ酸の水酸化反応にともなって生じるキノノイド型ジヒドロビオプテリン(qBH2)は、ジヒドロプテリジン還元酵素(DHPR)によってBH4に再還元される。DHPR遺伝子ノックアウトマウス(Qdpr-/-)の肝臓・脳ではBH4は野生型マウス(+/+)と比較して軽度に減少していたのに対し、BH2が著明に増加していた。Qdpr-/-マウスの血管ではBH2とともにBH4が増加していたが、胸部大動脈リング標本のアセチルコリンに対する弛緩反応は野生型と有意差がなかった。また血漿中のNO2+NO3含量は、野生型に比べ、有意に増加していた。血管には高BH2負荷に対してBH2/BH4比の変化を緩和し、NO産生と血管機能を維持する機構があると考えられた。
(2)BH4生合成の第三段階を触媒するセピアプテリン還元酵素(SPR)遺伝子ノックアウトマウスの組織では、BH4,BH2が高度に減少していた。このマウスは循環器系に異常を生じることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Dhpr-/-およびSpr-/-マウスの導入によって必要な遺伝子型の個体が得られるようになり、明確な生化学的・生理学的所見が多く得られた。Dhpr-/-については、薬物投与下の血管弛緩反応について、解析が進行中である。Spr-/-マウスの循環器系の異常については、そのメカニズムの解析が進んでいる。一方BH4と神経発達については、Spr-/-マウスおよび野生型マウスにBH4を投与し、発現に変化の見られる遺伝子をDNA Arrayでスクリーニングしたが、解析は進んでいない。

今後の研究の推進方策

(1)Dhpr-/-マウスに薬物を投与して血管のBH2/BH4比を変化させ、この時の血管弛緩反応の変化とラジカル産生を測定する。
(2)Spr-/-マウスの循環器系の異常とそのメカニズムについてとりまとめる。
(3)発達期の幼若マウスに投与するBH4、またはその阻害薬の量と時期を検討する。
(4)Spr-/-を含むBH4欠損マウスのグルタミン酸およびGABAニューロンの解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

必要に応じて交配用マウスの導入数、飼育に必要な飼料・チップの量が変動することによって残額が生じた。

次年度使用額の使用計画

マウスの飼育は計画的におこなっており、今年度は残額を生じない予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Targeted deletion of the C-terminus of the mouse adenomatous polyposys coli tumor supressor results in neurologic phenotypes related to schizophrenia2014

    • 著者名/発表者名
      Takanori Onouchi,Katsunori Kobayashi,,Kazuyoshi Sakai, Atsushi Shimomura, Ron Smits,
    • 雑誌名

      Mol Brain

      巻: 7 (1) ページ: 21-34

    • DOI

      10.1186/1756-6606-7-21.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Disturbed biopterin and folate metabolism in the Qdpr-deficient mouse.2014

    • 著者名/発表者名
      Xu F, Sudo Y, Sanechika S, Yamashita J, Shimaguchi S, Honda S, Sumi-Ichinose C, Mori-Kojima M, Nakata R, Furuta T, Sakurai M, Sugimoto M, Soga T, Kondo K, Ichinose H.
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 588 ページ: 3924-3931

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2014.09.004.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Aortic relaxation by acethlcholine is maintained against hyper dihydrobiopterinemia in quinonoid-dihydrobiopterin reductase knockout mice2015

    • 著者名/発表者名
      Chiho Sumi-Ichinose, Yui Suganuma, Taiki Kano, Noriko Ihira, Kazuhisa Ikemoto, Takahide Nomura, and Kazunao Kondo
    • 学会等名
      第88回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      Naggoya, Japan
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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