研究課題/領域番号 |
25460353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (20124604)
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研究分担者 |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (10221970)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プロテインホスファターゼ / 線条体 / 前交連 |
研究概要 |
プロテインホスファターゼ2Cε(PP2Cε)は、哺乳動物の小胞体に局在するプロテインホスファターゼで、ストレス応答経路や脂質輸送などの制御に関与する。個体におけるPP2Cεの機能を明らかにする目的でPP2Cε遺伝子欠損(KO)マウスを作成したところ、線条体の縮小と、それに伴う脳室の拡大というハンチントン病(HD)モデルマウスと類似した表現型を示すことが明らかとなった。さらに、左右の大脳半球を結ぶ交連神経である脳梁および前交連にも異常が認められた。PP2Cεの機能不全により惹起された中枢神経系の異常の原因を明らかにするため、野生型マウスおよび欠損型マウスを用いて行動試験を行ったところ、運動機能の協調性や平衡感覚を評価するワイヤーハング試験およびバランスビーム試験において、欠損マウスが異常な行動を示すことが明らかとなった。一方、海馬における短期記憶の能力を評価するY迷路試験においては、異常を認めなかった。また、ミエリン塩基性タンパク(MBP)抗体を用いて有髄神経を染め出したところ、大脳皮質と下部の神経核を繋ぐ神経線維が、著しく縮小・減少していることが観察され、線条体の縮小の原因が、ここを通過する神経線維の縮小・減少に起因することが示唆された。さらに、脳梁および前交連でも、そこを走行する神経線維の減少が著明に観察された。一方、小脳髄質など、他の領域では神経線維の顕著な減少は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線条体の萎縮の原因としてそこを通過する神経線維の減少を見いだせたこと。
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今後の研究の推進方策 |
神経線維が縮小・減少して見える原因としては、通過している神経軸索の数が少なくなっている場合と、実際には、同数の軸索が存在していても、その周りを取り囲む髄鞘の形成が不全であるため、免疫染色に染まらなくなっているということが考えられる。そこで、特に顕著な減少の見られた前交連に関して、電子顕微鏡により観察を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に予定していた特異的抗体の作製ができなかったため、当該年度の所要額が予定よりも低くなってしまったため。 今年度は特異的抗体の作製を進め、より詳細な解析を進める予定である。
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