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2014 年度 実施状況報告書

iPS細胞誘導の初期段階での転写因子ネットワークの解析

研究課題

研究課題/領域番号 25460354
研究機関筑波大学

研究代表者

久武 幸司  筑波大学, 医学医療系, 教授 (70271236)

研究分担者 西村 健  筑波大学, 医学医療系, 助教 (80500610)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード遺伝子発現 / 転写因子 / クロマチン / iPS 細胞 / エピジェネティクス
研究実績の概要

iPS細胞誘導時に発現が減少する転写因子、とくに Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子の制御について解析を進めた。これらの転写因子を過剰発現させると iPS 細胞の誘導効率が減少する。実際、アルカリホスファターゼ、SSEA1、Nanog の発現を観察すると、 Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子の発現によって iPS 細胞の誘導が遅延している事が分かった。また、その際に見られる細胞の形態変化を観察すると、MET (Mesenchymal to epithelial transition) が抑制されていることが示唆され、これは N-Cadherin や E-Cadherin の発現変化を免疫蛍光染色で調べることにより、MET の遅延が実際におきている事が確認できた。Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子を過剰発現にはレトロウイルスを用いているが、使用したレトロウイルスは iPS 細胞の誘導過程で発現ベクターとしての機能がプロウイルスのサイレンシングにために低下している事も分かった。そこで、サイレンシングの影響を受けにくいベクターに Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子をクローニングし、以上の効果がよりはっきりと分かる条件での再検討を計画している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子の発現低下が iPS 細胞誘導に必要であることが分かり、期待した結果が得られた。また、そのメカニズムとして、細胞増殖の変化、アポトーシス、MET について検討した結果、Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子は MET に関与していることが、ほぼ確実となった。

今後の研究の推進方策

今後は Ebf 及び Meox ファミリーの遺伝子が MET をいかに抑制するかを明らかにする。そのために、これらの遺伝子の EMT での役割を明らかにする。まず、TGF-b で EMT が in vitro で誘導できるマウスの乳腺上皮細胞株 NMuNG を用いて、Ebf、Meox がいかに EMT に関与するかを解析する。このために、Ebf、Meox の過剰発現系及び、ノックダウンを行い、EMT 関連の遺伝子(E-Cadherin、N-Cadherin、Twist、Snai1、Snai2 などの及ぼす影響を調べる。特にこの中で、転写因子については(Ebf、Meox、Twist、Snai1、Snai2 など)似ついては、互いの転写調節の関係を調べて、EMT を引き起こし維持すると思われる遺伝子ネットワークを明らかにする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Prediction of inter-individual differences in hepatic functions and drug sensitivity by using human iPS-derived hepatocytes2014

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Morisaki Y, Kuno S, Nagamoto Y, Harada K, Furukawa N, Ohtaka M, Nishimura K, Imagawa K, Sakurai F, Tachibana M, Sumazaki R, Noguchi E, Nakanishi M, Hirata K, Kawabata K, Mizuguchi H
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 111 ページ: 16772-16777

    • DOI

      10.1073/pnas

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Advanced Feeder-Free Generation of iPSC Directly From Blood Cells2014

    • 著者名/発表者名
      Trokovic R, Weltner J, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Salomaa V, Jalanko A, Otonkoski T, A Kyttälä
    • 雑誌名

      Stem Cells Trans. Med.

      巻: 3 ページ: 1402-1409

    • DOI

      10.5966/sctm.2014-0113

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Manipulation of KLF4 Expression Generates iPSCs Paused at Successive Stages of Reprogramming2014

    • 著者名/発表者名
      Nishimura K, Kato T, Chen C, Oinam L, Shiomitsu E, Ayakawa D, Ohtaka M, Fukuda A, Nakanishi M, Hisatake K
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports

      巻: 3 ページ: 915-929

    • DOI

      0.1016/j.stemcr.2014.08.014

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Paused iPSCを用いたiPS細胞誘導過程の解析2015

    • 著者名/発表者名
      西村健、加藤哲男、陳晨、Lalhaba Oinam、塩満鋭美、大高真奈美、福田綾、中西真人、久武幸司
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-03-19 – 2015-03-21
  • [学会発表] iPS細胞誘導初期に関与する転写因子の同定とその機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      加藤哲男、西村健、Nguyen Thuy Linh、大高真奈美、福田綾、中西真人、久武幸司
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-03-19 – 2015-03-21
  • [学会発表] 細胞の初期化におけるリプログラム因子の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      塩満鋭美、西村健、Lalhaba Oinam、Fransiska Liliani、福田綾、久武幸司
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-03-19 – 2015-03-21
  • [学会発表] Klf4遺伝子発現量調節による多能性が異なるiPS細胞の誘導2014

    • 著者名/発表者名
      西村健、加藤哲男、C. Chen、L. Oinam、塩満鋭美、大高真奈美、福田綾、中西真人、久武幸司
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [備考] 遺伝子制御学研究室

    • URL

      http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/biochem/gene/index.html

  • [備考] 筑波大学 注目の研究

    • URL

      https://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p20141003010.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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