研究課題
本年度は、炎症性サイトカインTNFa誘導細胞死に対するA20の抑制機構について解析を行なった。TNFaとタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドを同時処理するとNF-kBによる細胞死抑制分子の発現が阻害され細胞はアポトーシスを起こす。この条件でA20を発現させるとアポトーシスは抑制されたが、A20の7番目のzinc finger motif(ZnF7)変異体では抑制されなかった。また、TNFaとcIAP1阻害薬を同時処理するとRIP1のポリユビキチン化が抑制されてアポトーシスが誘導されるが、この条件では野生型A20を発現させてもアポトーシスは抑制されなかった。アポトーシスを促進するTNF受容体複合体(complex-II)の形成を解析したところ、A20はZnF7依存的にcomplex-IIの形成を阻害することがわかった。これらの結果は、A20によるアポトーシス抑制にはA20のZnF7とcIAP1が必要であることを示す。ZnF7はcIAP1に直接結合することから、A20はZnF7を介してcIAP1を制御することによりアポトーシスを抑制すると考えられる。また、TNFa、シクロヘキシミド、カスパーゼ阻害薬zVADの同時処理によるネクロプトーシスに対するA20の抑制効果を調べたところ、ZnF7変異体とともにA20の4番目のzinc finger motif(ZnF4)変異体でも抑制能が消失していることがわかった。ZnF4・ZnF7両変異体ではA20のユビキチン結合活性が消失していることから、ネクロプトーシスの抑制にはA20のユビキチン結合活性が重要であることが示された。現在、詳細な分子機構について解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
A20によるアポトーシス抑制機構について論文発表できたから。
今後はA20によるcIAP1制御機構について詳細な分子機構解析を進めるとともに、ZnF7変異ノックインマウスの作製と解析を進めてin vivoにおける役割を解明する。
本年度末に論文投稿したが、査読に時間がかかり研究に遅れが生じその分の消耗品費が未使用となった。
論文掲載決定となったため、来年度は繰越分を消耗品に充てて実験を効率的に行ない研究のさらなる進展を目指す。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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