研究課題
ユビキチン化修飾酵素A20は、N末端側のOTUドメインとC末端側の7つのZinc finger motif(ZnF)にて構成されており、OTUドメインを介してポリユビキチン分解酵素として働く一方で4番目のZnFを介してユビキチン結合酵素として働く。A20は、これらの酵素活性依存的にシグナル伝達因子の活性化抑制やプロテアソーム分解を導き、炎症反応や細胞増殖・分化を制御する転写因子NF-kBを抑制することが知られている。本研究では、A20が7番目のZnF(ZnF7)を介して別のユビキチン結合酵素cIAP1に結合することを見出し、その意義について解析を行なってきた。これまでに、A20がcIAP1に結合すると、cIAP1によるNF-kB活性化因子NIK のポリユビキチン化が抑制され、NIKが安定化してNF-kBが活性化することを見出した(Scientific Reports 2013)。さらに、ZnF7を介したA20のcIAP1への結合が、炎症性サイトカインTNF-aによる細胞死に対して抑制的に働くことも明らかにした(FEBS Letters 2015)。A20はNF-kB抑制を介して炎症や発癌の抑制因子として働くことが知られているが、本研究により、A20の活性が強すぎてもNIKを介したNF-kB活性化や細胞死抑制が導かれ、炎症や発癌が誘導されることが示唆された。今後は個体レベルの解析を行なって、A20によるcIAP1制御の役割について解析を進めたい。
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