研究課題/領域番号 |
25460362
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 誠 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30335244)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 細胞質分裂 |
研究実績の概要 |
IQGAP3による細胞質分裂制御に関わる直接のエフェクターとしてAnillinを同定することに成功した。この分子はまたIQGAP3の分裂溝への局在を規定していることも明らかになり、IQGAP3の上流因子としても下流因子としても機能する興味深い性質を持っていた。これらの結果を本年度論文に発表した(Adachi et al. (2014) Genes Cells 19:803-820)。Anillin以外にも分裂期においてIQGAP3と結合する機能未知の分子を複数同定しており、昨年度までにそれらの中に細胞質分裂に機能的に関与する分子が複数存在することが明らかになっていた。現在までのところこれらとIQGAP3との間にどのような機能的な関連があるのかは明らかに出来ていないが、その作用機序について現在鋭意解析を進めている。IQGAP3の機能をより明確にするため、IQGAP3遺伝子ノックアウト細胞の作製を計画していたが、当初の相同組換えによる方法から変更してCRISPR/Cas9の系を用いることでその作製に成功した。現在この細胞について詳細に表現型の解析を進めている。組換え蛋白質の発現精製については、昆虫細胞を用いて一部のコンストラクトの発現精製に成功した。しかし一部必要な機能ドメインについて未だ適切な分子を得るには至らず、結合分子との融合蛋白質をデザインするなどの工夫を試みている。IQGAP3と癌との関連について、現在のところ十分な解析が進められていない。これに関連して、本年度他の研究グループより肺癌とIQGAP3の機能的関連を示唆する報告がなされたが、現在我々はまだその検証などを行なえていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IQGAP3のエフェクターの同定およびその作用機構の解析、ノックアウト細胞の作製などは行なえたが、新規因子群の機能解析が十分に進められていない点、またIQGAP3と癌との機能的関連性について殆ど全く解析に手が付けられていない点などから、研究計画全体としてはやや遅れ気味であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
癌との関連については、共同研究者の協力を得るなどし、可能な限り速やかに研究の進捗度を上げていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも研究の遂行に遅れが生じているため。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度遅れた分の研究を、来年度には当初から予定の研究と併せて進めていく予定である。
|