研究課題/領域番号 |
25460363
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹馬 俊介 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50437208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫寛容 / 自己免疫 / PD-1 / T細胞 / 抑制レセプター / 遺伝子改変マウス |
研究実績の概要 |
研究代表者は、免疫細胞に発現する、PD-1のノックアウトマウスが自己免疫疾患を発症することに注目し、PD-1による免疫調節機構について解析を進めている。自己寛容に必須であるPD-1が、幾つかの病態にはマイナスに働くという例が注目されている。例えばがんや慢性ウイルス感染といった、長期的な免疫反応を伴う疾患においては、T 細胞がPD-1 の非常に高い発現を呈し、エフェクターサイトカインを産生する能力を失った「疲弊T細胞」へと変化していく。標的となるがんや感染細胞には、PD-1 の生理的リガンドが高発現していることから、がんやウイルスは、PD-1 を利用して宿主から免疫逃避している、とも考えられる。本研究では、①既存の免疫関連遺伝子欠損マウスや②新規作成マウスモデルを用いて、PD-1の高発現を起こす要因と、ひいてはPD-1高発現の、免疫疲弊成立における意義を解析することを目的としている。作年度は、①の研究より、無処置マウスにおいてPD-1の発現を負に制御していると考えられるサイトカインを見出している。②については、PD-1発現と同時に緑色蛍光タンパク、およびCRE組み換え酵素を発現する、レポーターマウスの作成に成功した。このマウスを用いることによって、PD-1を発現した細胞の、その後の免疫反応における役割が明らかにできると考えている。 また、PD-1と制御性T細胞の関連を見つける過程で、すい臓の外分泌部に自己免疫性炎症を起こすマウスを同定した。この解析が進めば、自己免疫疾患のメカニズム解明に貢献することができると考えられる。これに関しては解析を進めると同時に、成果発表を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、PD-1レポーターマウスの作成を達成できた。また、既存の遺伝子欠損マウスからも有用な知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
新規レポーターマウスに、自己免疫疾患を誘導し、解析を進める。また、制御性T細胞とPD-1のクロストークを明らかにするため、本年度見出した、新規自己免疫マウスの表現型解析を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、新規作成したマウスの表現系解析を行うための費用を計上していたが、マウスの作成が昨年度遅れた。また、既存マウスの交配から新規知見が得られたため、表現系解析のための資金を来年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は新規マウス、既存マウスの2系統のマウス解析に、当該助成金、および来年度助成金を充て、一体的に使用する。
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