本研究では、消化管粘膜上皮細胞特異的に発現する受容体型チロシンホスファターゼSAP-1とその基質候補分子p100による腸管免疫制御機構とその病態的意義について解析を進めた。その結果、SAP-1と同様に炎症性腸疾患のモデルマウスであるIL-10ノックアウトマウスでのp100の欠損が大腸炎の増悪化をもたらすことを確認した。さらに、SAP-1の新たな基質候補分子としてp90を同定した。これらのことから、SAP-1はp100やp90のチロシンリン酸化を制御することで、腸上皮細胞による腸管免疫制御に関与する可能性が強く示唆された。
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