研究課題
前年度までに、RifがE3ユビキチンリガーゼDDB1と結合し、また、DDB1のノックダウンによって内在性のRifのタンパク質量が増加することを見出した。そこで、RifとDDB1の結合について、Rifの野生型、活性型、不活性型のどれがDDB1とより安定に結合するのかについて検討した。その結果、DDB1はRifの不活性型と最も安定に結合することが明らかになった。この結果は、Rifの不活性型が特異的にユビキチン化を受けるという前年度までの結果を支持する。したがって、Rifは不活性化状態においてDDB1と結合し、ユビキチン化を受けると考えられる。次に、DDB1のノックダウンがRif以外のRhoファミリー低分子量Gタンパク質のタンパク質量にも影響を与えるかどうかを検討した。その結果、DDB1をノックダウンした細胞において、RhoAはRifとは逆に減少し、RacとCdc42はほとんど変化が認められなかった。したがってDDB1はRhoファミリーに中ではRif特異的にユビキチンリガーゼとして機能していることが示唆された。Rifはエメリンと結合することを見出しているが、その結合が直接的なものか、また、RifのGTP結合型(活性型)、GDP結合型(不活性型)、ヌクレオチド非結合型といった違いによってエメリンとの結合が変化するのかについて検討した。そのため、GSTタグを付加したRifとMBPタグを付加したエメリンをそれぞれ大腸菌から精製した。in vitro結合実験の結果、RifのGDP結合型とGTP結合型が同程度にエメリンと結合し、Rifのヌクレオチド非結合型とエメリンとの結合はそれらの結合に比べて弱いことがわかった。したがって、Rifは直接エメリンと結合し、その結合はRifのヌクレオチド結合型がより安定であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
RifとDDB1の関係やRifとエメリンの関係について、前年度の結果を発展させる成果が得られたことから、概ね順調に進展していると言える。
Rif、DDB1、エメリンの関係について、より詳細な生化学的解析を行うことによって、それらの機能についての分子機構を明らかにする。また、Rif、DDB1、エメリンの関係についての生理的・病理的役割を明らかにするため、細胞浸潤アッセイ等のモデルを用いた解析を行う。
26年度に、精製タンパク質を用いたin vitroユビキチン解析を行う予定であったが、in vitroユビキチン解析に必要な精製タンパク質が十分得られなかったため、計画を変更しin vitro結合解析を行う こととしたため、未使用額が生じた。
in vitroユビキチン解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Int. Rev. Cell Mol. Biol.
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http://www.med.kobe-u.ac.jp/medzoo/