細胞核の変形は様々な生理的・病理的状況下において認められるが、その分子基盤については不明な点が多い。私たちは、細胞膜糸状突起形成に関わる細胞内タンパク質Rifが不活性状態において核膜タンパク質エメリンの分解と核変形を誘導することを見出し、その分子機構と病態における意義の解明を目的に研究を行った。不活性型Rifはユビキチン化・分解制御を受けることでエメリンを分解に導く可能性が示唆された。また、Rifの活性化がハッチンソン・ギルフォード早老症候群の病態に関連したエメリンの異常局在や分解を抑制できることを見出した。さらに、Rifがヒト肺腺がん細胞の増殖や浸潤に関与することを明らかにした。
|