糖尿病の発症には、脂肪組織の慢性炎症が関与するが、その機序の解明は不十分である。本研究では肥満脂肪組織に生じる肥大脂肪細胞の細胞死に関連して、肥満個体では細胞デブリスのひとつである遊離核酸断片(cfDNA)が増加し、核酸断片受容体であるTLR9によって認識されることでマクロファージを活性化し、脂肪組織の炎症を惹起すること、さらに、TLR9の遺伝的欠損や特異的阻害薬により、肥満誘導性の糖尿病の発症が減弱することを見出した。これらの結果は、cfDNA-TLR9シグナルが肥満誘導性の脂肪組織の慢性炎症と糖尿病の発症の新規治療標的になる可能性を示唆している。
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