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2013 年度 実施状況報告書

殺菌に重要な活性酸素生成型NADPHオキシダーゼを構成する膜蛋白質の活性化機構

研究課題

研究課題/領域番号 25460372
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

宮野 佳  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60444783)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードNADPHオキシダーゼ / 活性酸素
研究概要

好中球等の食細胞に発現する食細胞NADPHオキシダーゼは、病原体の殺菌時に活性化され、スーパーオキシドを生成する酵素である。生成されたスーパーオキシドは、速やかに過酸化水素や次亜塩素酸に変換される。これら活性酸素種 (ROS; reactive oxygen species) は、強力な殺菌性を示す。本酵素の重要性は、その遺伝的欠損や変異が幼少期より重篤な感染症を繰り返す慢性肉芽腫症 (CGD; chronic granulomatous disease) を引き起こすことから示される。本酵素の活性中心であるgp91phox (別名としてNox2) は、膜タンパク質であり、一次構造上、N末端側の6回膜貫通領域とC末端側の細胞質領域で構成される。細胞質領域には、NADPH結合サイトとFAD結合サイトが存在し、膜貫通領域には2つのヘムが配位している。こうして、基質である細胞質のNADPHから電子を受け取り、細胞膜を横切り、細胞外の酸素分子へと電子を伝達するための「装置」が一分子中に全て含まれることになる。
生体は活性酸素の反応性の高さを利用して、殺菌(生体防御)だけでなく耳石の形成や甲状腺ホルモンの合成、さらにはレドッックスシグナル応答におけるシグナル伝達分子として機能している。gp91phox/Nox2のホモログであるNox1とNox5は、様々な組織や細胞に発現し、それらが生成する活性酸素は種々のレドックスシグナル経路に関与していることが知られている。Nox1やNox5の一次構造は、Nox2と共通であり、これらのNoxの機能解析はNoxファミリー(Nox1~Nox5)全体の制御機構の理解に繋がるものである。
初年度の平成25年度は、Nox1とNox5に焦点を当て、それらの分子の成熟化機構と触媒制御機構の解明を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は、まずNox1とNox5の成熟化機構と活性化機構に焦点を絞り研究を遂行した。Nox1に関して、(1) 162番目(2nd loop)と236番目(3rd loop)のAsnがN型糖鎖修飾を受けること、(2) パートナー分子のp22phox依存性にhigh mannose型からcomplex型へと変換されること、(3) しかし、糖鎖修飾はNox1の酵素活性にも細胞表面への局在にも必要ないこと、(4) Nox1の酵素活性はp22phoxに依存すること、を見出した。また、Noxファミリーに共通なドメイン構造に対して追加的なN末端細胞質領域を持つNox5の活性化機構、及びタンパク質の成熟化過程に関する新しい知見を得た。これらの研究成果は、海外の学術誌(Biochem Biophys Res Commun)及び国内学会等(生体防御学会、生化学会、分子生物学会)で報告した。

今後の研究の推進方策

初年度は、Nox1とNox5のタンパク質成熟化過程に関して、また酵素活性化機構について新しい知見を得ることができた。本研究課題の最終目標は、食細胞NADPHオキシダーゼであるgp91phox/Nox2の活性化状態に関する新しい知見を得ることである。具体的には、Nox2の成熟化に必要なパートナー分子p22phoxとの結合様式や、可溶性活性化タンパク質との複合体(活性化状態)の立体構造に関する情報を得ることである。初年度の成果は(Nox1とNox5のタンパク質成熟化過程に関する新しい知見)、本研究課題を遂行する上で非常に有力な情報となり得る。平成26年度以降も研究実施計画に従って研究を遂行する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] N-Linked glycosylation of the superoxide-producing NADPH oxidase Nox1.2014

    • 著者名/発表者名
      Miyano K, Sumimoto H
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 443 ページ: 1060-1065

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.12.086.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Noxによる活性酸素産生機構2013

    • 著者名/発表者名
      宮野 佳, 住本 英樹
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 247 ページ: 739-745

    • 査読あり
  • [学会発表] Role for a conserved region of the superoxide-producing NADPH oxidase 5 (Nox5)2013

    • 著者名/発表者名
      Kei Miyano, Hideki Sumimoto
    • 学会等名
      第36回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] 細胞刺激に応じた活性酸素生成型NADPHオキシダーゼ5(Nox5)の活性化におけるN末端細胞質領域の役割2013

    • 著者名/発表者名
      宮野 佳、住本 英樹
    • 学会等名
      第86回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 活性酸素生成酵素NADPHオキシダーゼ5(Nox5)の活性化におけるN末端領域の役割2013

    • 著者名/発表者名
      宮野 佳、住本 英樹
    • 学会等名
      第24回 日本生体防御学会学術総会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130710-20130712

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公開日: 2015-05-28  

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