研究課題
基盤研究(C)
申請者は、低親和性のロイコトリエンB4受容体として見出されたBLT2の生体内リガンドが、12(S)-ヒドロキシ-ヘプタデカトリエン酸(12-HHT)であることを発見した(Okuno, J. Exp. Med., 2008)。12-HHTは、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の標的分子であるシクロオキシゲナーゼ(COX)依存的に産生されるが、生理機能や病態における役割は十分に明らかにされていない。本年度は特に12-HHTの生合成機構の解明に取り組み、その結果を論文としてまとめることができた(Matsunobu, J. Lipid Res., 2013)。12-HHTは、血液凝固時に多量に産生したが、COX阻害剤であるアスピリンの前処理でほぼ完全に産生が抑制された。一方、トロンボキサン合成酵素(TxAS)阻害剤であるオザグレルによる12-HHTの産生抑制は部分的であった。洗浄血小板のトロンビン刺激依存的な12-HHT産生もアスピリンによって完全に抑制されたが、オザグレルの効果は部分的であった。またTxAS欠損マウスを用いた12-HHT産生は野性型マウスより減弱したが、部分的な産生は残っていた。HEK細胞にCOX-1もしくはCOX-2とTXAを共発現させた細胞にアラキドン酸を投与して12-HHTの産生量を測定した。COXとTxASの共発現細胞だけでなく、COX-1/2の単独発現細胞でも12-HHTの産生が観察された。従って、12-HHTの産生経路にはTxAS依存的な経路と非依存的な経路があることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
12-HHTの生合成機構を明らかにし、論文にまとめることができた。
12-HHTの生体内における機能の解明をさらに進めて行きたい。
年度のまたぐ出張があり、出張後に清算の必要があったため。出張費として支出をする。
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