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2014 年度 実施状況報告書

ノックアウトマウスを用いたATF-2遺伝子ファミリーの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 25460377
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

前川 利男  独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 研究員 (90201764)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードATF-7 / ストレス / Ku70/Ku80 / テロメア / p38シグナル伝達経路 / TERT / 次世代への伝達
研究実績の概要

1、ATF-7蛋白質複合体をHeLa細胞から精製してMAS解析を行った結果、ATF-7はKu70/Ku80と複合体を形成していることが判明した。Atf-7-/- MEFのテロメアの長さは野生型と比較して有意に短いことから、ATF-7のテロメアにおける役割を調べた。その結果、ATF-7はKu70/Ku80及びTERTと複合体を形成して、テロメアに結合し、テロメラーゼTERTをリクルートすることによってテロメアの長さを維持している事が明らかに成った。
2、ATF-7はストレス刺激によってリン酸化されることから、UVやTNFα等のストレスによる影響を調べた。その結果、UVやTNFα等のストレスによってp38がリン酸化されて活性化されるとATF-7がリン酸化され、Ku70/Ku80及びTERTとの複合体が解消して、ATF-7がテロメアから放れテロメアの長さが短く成ることが分かった。Ku70とTERTのノックアウトマウスからMEFを調製してテロメアの長さを調べた結果、Atf-7-/- と同様に短い事が判明した。
以上の結果から、ストレスによってテロメアの長さが短くなる現象には、p38のシグナル伝達経路とATF-7が中心的な役割を担っている事が分かった。
3、野生型マウスにTNFα等のストレスを加えて、テロメアの長さを短くする実験系を開発した。この実験系でATF-7 KOマウスを用いた場合、テロメアの長さの短縮は観察されないことから、この現象はATF-7に依存している事が明らかになった。
4、雄の野生型マウスにTNFα等のストレスを加えると、その子供のテロメアの長さが短くなる現象を観察した。この事から、親の受けたストレスは精子を介して次世代に伝達されることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ストレスによってテロメアの長さが短くなる現象には、p38のシグナル伝達経路とATF-7のリン酸化が深く関与していることを明らかにした。また、ATF-7がKu70/Ku80及びTERTと相互作用することを発見して、ストレスによってこの相互作用が壊れ、テロメアの短縮に至る分子メカニズムを提示することができた。
更に野生型マウスにTNFα等のストレスを加えて、テロメアの長さを短くする実験系を開発し、親の受けたストレスは精子を介して次世代に伝達されることを発見した。

今後の研究の推進方策

マウス個体において、ストレスがテロメアの長さを短くすることを発見したが、各組織や細胞で感受性が異なるか否かを検討したい。特にストレスの影響を受け易い臓器や細胞を特定して、生物個体におけるその生理学的な影響を調べたい。
また、親の受けたストレスが、次世代に伝達されることを発見したが、その分子メカニズムを解析したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 転写因子ATF-7を介したストレスによるテロメアの長さの制御2014

    • 著者名/発表者名
      前川 利男、Binbin Liu、吉田 圭介、仲村 賢一、田久保 海誉、石井 俊輔
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜市 パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-26

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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