研究課題
HeLa細胞を用いてATF7複合体を精製し、ChIP法で解析した結果、ATF7はKu70/Ku80及びテロメラーゼと複合体を形成して、テロメラーゼに結合していることが明らかになった。TNF-α等のストレス刺激によってATF7がp38キナーゼによってリン酸化されるとATF7とKu70/Ku80及びテロメラーゼの複合体は解離してテロメアから離れ、テロメラーゼをテロメアにリクルートできなくなるので、テロメアが短くなることが分かった。また、ATF7はテロメアにおいてSuv39h1をリクルートしてヒストンH3K9me3を導入することによってヘテロクロマチン形成を促進していることも明らかになった。このヘテロクロマチンはストレス刺激によってATF7がリン酸化されるとATF7のテロメアからの遊離と共にH3K9me3の低下によって壊された。ATF7はマクロファージにおいて、自然免疫系の遺伝子の発現を抑制していることが明らかになった。このメカニズムを調べた結果、マクロファージではATF7はG9aと複合体を形成して自然免疫系の遺伝子のプロモーター領域にH3K9me2を導入することによって発現を抑制していることが明らかになった。そこで、マウスをあらかじめLPS等で刺激するとATF7がp38キナーゼによってリン酸化されATF7がプロモーター領域から外れると同時にH3K9me2が減少して自然免疫系の遺伝子の発現が誘導された。また、この活性化状態は長期間持続され、この期間の細菌感染が抑制されることが明らかになった。これまで、自然免疫系には長期記憶は無いと考えられてきたが、この現象は自然免疫系の長期記憶の存在を示唆している。
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