研究実績の概要 |
(1)in vivoでのペプチド2130の抗腫瘍効果について明らかにする: 胃癌細胞株MKN45細胞をNOD/SCIDヌードマウスに移植した担癌マウスを作成し、ペプチド2130を担癌マウス(n=3)の腫瘍部位に直接投与することにより、有意に腫瘍形成を抑制しました。(2)LIX1L蛋白質の各種癌組織における発現解析と増殖への関与:免疫染色では胃癌(n=540);61.9%, 膵臓癌(n=43);58.1%, 大腸癌(n=50);56%, 卵巣癌(n=50);52%, 腎細胞癌(n=58);50%, 乳癌(n=50);46%, 肺癌(n=64);45.3%, 肝細胞癌(n=47);38.3%, 食道癌(n=51);29.4%, 前立腺癌(n=53);24.5%, 甲状腺癌(n=50);24%でLIX1Lの発現亢進が認められた。また、Western blot法においても各種癌組織における発現亢進が確認された。(3)LIX1L蛋白質の生理活性部位の同定:LIX1Lの136番目のチロシンが特異的にリン酸化されていることが確認された。LIX1L蛋白質のTyr136を標的とし、キナーゼアッセイによるチロシンキナーゼの同定を行い、6種類の候補チロシンキナーゼを同定した。(4)LIX1Lの標的RNAを同定: LIX1L抗体を用いた免疫沈降(RIP)により結合RNAを回収し、次世代シークエンサーを用いて結合RNAを同定した。mRNA以外に多数のsmall RNA(miRNAを含む)を検出し、データベースから10種類のmiRNAがLIX1Lに結合することが明らかにされた。 以上の結果から、ペプチド2130のin vivoでの抗腫瘍効果を確認し、LIX1Lを標的とするチロシンキナーゼとLIX1Lが標的とするmiRNAを同定し、標的分子候補として分子標的治療薬開発の基礎的データが得られました。
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