研究課題
細胞膜ドメインは、癌細胞の悪性形質発現に極めて重要な役割を果たしているが、その構築や維持に関する詳細なメカニズムはあまり知られていない。本研究課題は、メラノーマ細胞を中心とする癌細胞における細胞膜ドメイン機能を制御するシグナル及び脂質代謝を中心とした代謝基盤を理解し、悪性腫瘍に対する新しい治療戦略を見いだすことを主な目的としている。昨年度までの研究で、脂質代謝を制御する主要な転写因子SREBPが膜ドメイン機能やがん細胞の悪性形質の発現に重要な役割を果たしていることを見出した。平成28年度は、SREBPによって制御されるメバロン酸経路の腫瘍生物学的意義について解析を進めた。その結果、ヒトメラノーマ細胞においてメバロン酸経路の阻害がYAPのコアクティベーター活性を著しく低下させることがin vitro及びin vivoで認められた。YAPはメラノーマを含む多くのがん細胞の悪性形質発現に重要な役割を果たしているシグナル分子であり、SREBPを介した脂質代謝とシグナル伝達との関連性について重要な知見を得ることができた。これらの結果は、2016年12月に開催された第39回日本分子生物学会年会にて発表された。そのほか、細胞膜ドメインの重要な構成因子であるガングリオシドに関連する論文をScientific Reports(Yamaguchi, Yamauchi, et al. 2016, 6: 34505)とNature Chemical Biology(Komura et al., 2016, 12: 402-410)に発表した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
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